産業、消費、および技術の構造変化が環境に与える影響の計量的研究
【研究分野】経済統計学
【研究キーワード】
中国環境 / CO_2排出 / SO_2排出 / 石炭消費 / 省別産業別環境データ / 東アジアの環境問題 / 構造変化 / 技術開発 / SOx / ボイラ / 石炭ブリケット / エネルギー / 環境分析用産業連関表
【研究成果の概要】
本研究では,経済構造と環境問題の関わりを考察するに当り,おもに現代の中国における環境問題を例にとって実証分析を行った。というのは中国は現在世界の中でももっとも目立つ経済発展に直面している経済で,その生産面や消費面における構造変化が非常にドラスティックに観察されるため,それによる環境影響もかなり特徴的なものであろうと予想されたからである。研究ではまずはじめに,いったい中国政府等による公表ベースのデータではどのようなことが捉えられ,どのような分析ができるのかを整理した。なぜなら中国に関する統計的情報は非常に限られて,そのままでは産業別,地域別,主体別など木目細かい分析を行えない場合が多いからである。そのうえで入手可能な情報をもとにして,あらたに中国の省別,産業別環境分析を行うためのデータ整備を行った。具体的には,公表データにおいて金額ベースで把握されている省別・産業別経済活動データなどをもとに,中国の省別・産業別石炭消費量,それによるCO_2及びSO_2排出量の推計を行った。省別CO_2及びSO_2排出量の推計では,各地の石炭の性状に関する省ごとの違いを把握することがどうしても必要であったが,とりわけCO_2排出量の推計の場合に必要な情報を得ることが難しかった。そこで,本研究において各方面への調査を通じて国内に蓄積された中国関連データの掘り起こし,および工学分野ですでに得られている数々の知見の収集等を行い,推計のノウハウを開発した。その上で,推計結果の分析検討を経済情報との関連で行った。またこれらの情報収集と同時に,中国で実際に使われているボイラのような燃焼装置,あるいは実際に行われている脱硫努力の実情についても調査し,現時点の問題点は何か,今後どのような改善が必要かについて知見を整理した。さらに中国について行ったこれらの研究ノウハウを,成長著しいASEAN,NEEDSなど東アジア全体に関する経済と環境問題の分析へも適用できないかどうか,検討を行った。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】1,700千円 (直接経費: 1,700千円)