難分解性プラスチック分解菌の探索とその機能を利用した加工・リサイクル技術の開発
【研究キーワード】
難分解性プラスチック / 分解 / 微生物 / バイオリサイクル
【研究成果の概要】
1)PET分解酵素の機能改変と活性向上(慶應義塾大学・宮本):熱安定性の高い加水分解酵素の中から、発現効率の面よりThermobifida fusca由来クチナーゼ (TfCut2)を選択した。そして、この酵素は、Ideonella sakaiensis由来PETaseが速やかに失活する65℃においても高いPET分解活性を示した。次に、負の表面電荷を持つTfCut2のPET樹脂への吸着促進を期待して、カチオン性界面活性剤を反応系に添加した。その結果、無添加と比較して分解活性が13倍向上した。そして、反応開始48時間後でも反応初期と同等の分解速度を示した。一般的に、界面活性剤は酵素の変性作用を持つ。しかし、界面活性剤添加、65℃、48時間という酵素にとって過酷な条件においてもTfCut2は高い活性を維持し、実用的であることが示唆された。
2)酵素の修飾による分解活性の向上(慶應義塾大学・宮本):化学修飾を行うための連結部となるアミノ酸としてシステインを選択して、PETaseの変異体の作製を行った。その結果、PETの分解活性を失わないシステイン変異体を複数得ることに成功した。次年度以降において、この変異体を用いて化学修飾を行い、活性向上を検討する。
3)難分解性プラスチック分解微生物の探索(高知大学・寺本):PP分解能を持つ細菌のタイプを明らかにした。このうち新たに獲得した菌株は、(PEの部分骨格を持つ)直鎖アルカンを、(PPの部分骨格をもつ)分岐アルカンよりも好んで分解した。さらに、高温(50℃)でPE・PP分解する候補株を海洋および土壌環境からそれぞれ選抜した。また、直鎖アルカンと分岐アルカンの分解は、固体培地を用いた方が、液体培地の時よりも、低温で分解されやすい(条件により至適分解温度が異なる)ことが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
寺本 真紀 | 高知大学 | 教育研究部総合科学系複合領域科学部門 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】44,070千円 (直接経費: 33,900千円、間接経費: 10,170千円)