筋構造ー収縮力相関における微小管の役割
【研究キーワード】
筋収縮 / 微小管 / 粘弾性 / イメージング / 筋挫傷
【研究成果の概要】
前々年度に行った筋収縮力と筋イメージングの同時計測のための装置開発および改良により、前年度は筋の粘性を計測する事、および微小管のライブイメージングを行うことに成功した。これまでは粘弾性計測において、粘性と弾性の分離計測が不十分であったが、高性能のステッピングモーターを搭載することで、粘性計測を安定的に行うことが可能となった。また、筋組織の自家蛍光が高いために、微小管のライブイメージングが十分に行えなかったが、蛍光標識試薬および蛍光像取得用カメラを変更したところ、鮮明な微小管像を得ることができた。微小管脱重合薬であるコルヒチンを添加したところ、完全強縮の形成効率の低下や、バリエーションのある収縮が見られなくなることが見いだされた。また、ステッピングモーター搭載により、高精度で再現性の高い伸展歪みを与えられるようになったため、これを用いたところ、過度な伸展歪みを与えると微小管脱重合時と同様の収縮変調が起きることが見られてきた。これは筋繊維の構造安定性や粘弾性に微小管が関与しており、伸展歪みにより微小管の分布が変化するのではないかという事を示唆していると考えられる。これは本研究課題の主要なテーマである微小管と筋収縮との関係を明らかにする極めて重要な発見である。本年度はこれを確たるものとするために、再現実験を行う。前年度までに、手動による伸展歪みを与えながらライブイメージングを行うことには成功しており、伸展歪みとサルコメア長の関係を示すデータは取得できた。しかしながら、ステッピングモーターによる振動ノイズを避けるため、同モーターはステージ外に設置しており、同時イメージングに支障が出ている。本年度は顕微鏡部分に可動性を持たせることで、高精度、高再現性の伸展歪みと微小管ライブイメージングの同時計測を行うことで、先に述べた重要な発見を確たるものとしていく予定である。
【研究代表者】