卵巣癌の個別化治療を目指した免疫プロファイルに基づく包括的バイオマーカーの開発
【研究キーワード】
卵巣癌 / 免疫療法 / バイオマーカー / 個別化治療 / 漿液性癌
【研究成果の概要】
近年卵巣癌に対する免疫療法の研究が活発に行われてきている。しかし、進行および再発卵巣癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験では未だ十分な成果が得られていない。これは、卵巣癌が多彩な組織型を持つだけでなく、多彩な免疫学的背景を持つことがその一因であると考えられる。本研究では、卵巣癌における個別化がん免疫療法の確立を目指すために、次世代シーケンサーを利用した免疫ゲノム解析によって得られる免疫プロファイル、ネオアンチゲン、抗原提示機能などの多面的な免疫学的指標を包括的かつ視覚化できるようなバイオマーカーであるイムノグラムの開発を目指している。がん免疫療法を成功に導くためには、ターゲット腫瘍においてCancer-Immunity Cycleにおけるどのステップが問題になっているかをよく検討することが重要である。そうすることにより、自ずと奏効する可能性が高い患者の選出や、有用な併用薬のパートナーが見つけやすくなる。ただ、このCancer-Immunity Cycleにも見られるように、多くの因子が複雑に絡みあい、腫瘍に対する免疫反応を減弱させているため、効果的な免疫療法を計画するには様々な段階での免疫の増強および免疫抑制因子の排除の両方の検討が必要である。この複雑な宿主および腫瘍の免疫相互作用をCancer-Immunity Cycleになぞらえて、レーダーチャートを利用した上で視覚化するイムノグラムという概念が提唱され、がん免疫治療への応用が期待されている。これまでにZ-scoreを利用してイムノグラムの各因子のクラスター解析を行い、また特徴的な遺伝子変異及び臨床的ファクターも加えて評価を行い、漿液性癌、明細胞癌のいずれにおいても免疫がアクティブなグループを特定した。当該年度はより包括的な評価応報を用いて行う予定であったが、コロナの影響が大きく、予定通り研究を進めることが困難であった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
垣見 和宏 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 特任教授 | (Kakenデータベース) |
松下 博和 | 愛知県がんセンター(研究所) | 腫瘍免疫制御TR分野 | 分野長 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)