高齢者の視触機能低下とその補綴に関する研究-プロダクティブ・エイジングのために-
【研究分野】実験心理学
【研究キーワード】
プロダクティブ・エイジング / QOL / 高齢者 / 超高齢社会 / 視覚・触覚のクロス・モダリティー / 認知機能の加齢変化 / 補綴 / 視覚 / 触覚 / 視触交互作用 / 視機能低下 / 触党 / 機能低下
【研究成果の概要】
本研究は高齢者と視覚障害者の認知行動を視覚と触覚の両面から検討し、以下の結果が得られた。
視覚研究:1.高齢者では視認性とカテゴリカル色知覚が低下し一致度の範囲が狭まること、白内障患者のコントラスト感度を測定し加齢による白内障患者の手術の判断基準にコントラスト感度が有効であることを示した。2.視野制限下でパターン変化の見落としが増加し検出反応時間が長くなること、複合図形や重なり図形の知覚において簡潔なまとまりが困難になることを示した。3.視覚障害者の日常行動における危険とその防止策について検討した。車音が騒音でマスクされ危険な思いをする人が多いこと、低視力や狭視野による見えをシミュレーション下で組織的に分析し各障害レベルでの行動の制約を明らかにした。エスカレータ昇降時の事故を減少させる方法を提案した。高齢者のQOLが眼疾病の違いや視野障害の有無によって異なり、日常行動の面からQOLが評価できることを示した。
触覚研究:1.高機能触覚ディスプレイを開発し触覚の仮現運動、探索、変化の見落としについて検討した。仮現運動では同時時相のSOA範囲では刺激の大きさ変化が分からないが、運動時相では大きさの違いが分かること、変化の見落としでは反応時間や保持項目が視覚の場合と顕著に異なること、両手間での変化の見落としを確認した。2.視覚代行の基礎として触覚表示による視覚情報伝達方法について研究し、複合図形や重なり図形の触覚によるまとまりは視覚とは顕著に異なるがヨークドモードでは視覚に近づくこと、中指に提示された刺激の粗さ判断が他の指に与えられる刺激に影響されることを明らかにした。
視触交互作用研究:1.触覚の変化検出課題において視覚的に位置情報を与えると反応時間が短縮し保持項目数も増えることを示した。2.中指に与えられた刺激の粗さ判断が視覚情報によって影響されることを示した。
【研究代表者】