気分障害患者の自覚・他覚ウェルビーイング・イルビーイングの脳神経基盤解明
【研究分野】精神神経科学
【研究キーワード】
気分障害 / 自覚 / 他覚 / うつ / MRI / NIRS / ウェルビーイング / イルビーイング / 脳画像 / 脳神経疾患
【研究成果の概要】
気分障害患者の安静時機能的MRI（rs-fMRI）解析を行ったところ、自覚的指標有意群において両側の前頭極と楔前部の機能的結合性（FC）の増強を認めた。大うつ病性障害患者に関して、全頭型プローブNIRS装置を用いて測定したところ、左前頭前皮質背外側部―頭頂葉間の安静時機能的結合低下が他覚的イルビーイングに関連していた。気分障害患者において、認知機能が自覚的なウェルビーングの形成に関与していた。うつ病22名、双極性障害20名、健常者49名のMRI（右前部島皮質体積）・NIRSデータ（右背外側前頭前皮質血流賦活）を用いて判別分析を施行した。76%の正診率であり、単独データ使用時より確度が高まった。
【研究の社会的意義】
本研究はイルビーイングの自覚・他覚的側面やそれらのかい離の脳神経基盤を解明した点、精神科臨床でこれまで対象としてきたイルビーイングだけでなく、ウェルビーイングについても統合的に検討した点であると考えられる。本研究の成果は、自覚・他覚イルビーイングのかい離とその脳基盤の同定により、気分障害の脳機能・構造にもとづく層別化を可能とし、治療法選択バイオマーカーとして実用化する道を開くことにつながるものと思われる。また、ウェルビーイングとイルビーイングが単なる正負の鏡像関係ではなく、独立した脳基盤を持つことを示すことで、精神疾患のリカバリー支援にも脳科学的な示唆を与えた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2017-04-01 - 2020-03-31
【配分額】16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)