新規RNA結合蛋白質によるアポトーシス誘導の分子機構
【研究分野】病態医化学
【研究キーワード】
RNA結合蛋白質 / p53 / TGF-β / アポトーシス / Bim / KHドメイン / 標的遺伝子 / ノックアウトマウス / TPA / 発現誘導
【研究成果の概要】
p53およびTGF-βによって発現誘導される新規遺伝子D8を見出し、以下の事実を明らかにした。
1)D8をHepG2などの癌細胞に強制発現するとアポトーシスを誘導する。RNAiを用いてD8の発現を抑制するとp53やTGF-βによるアポトーシスの誘導が阻害される。これらの結果から、D8はp53やTGF-βによるアポトーシスの誘導に重要な役割を果たしていると考えられた。
2)5FU、アドリアマイシンなどによりゲノムの損傷をうけるとD8の発現が増加すること、これらの薬剤によるアポトーシスにD8が重要な役割をはたしていることを見出した。
3)BH3 onlyファミリーに属すBimがD8のKHドメインに結合することを見出した。RNAiを用いてBimの発現を抑制するとD8によるアポトーシス誘導が阻害されることから、BimはD8によるアポトーシス誘導に重要な役割を果たしていると考えられた。
4)D8はアポトーシスを誘導する活性のあるBimのmRNAを安定化することによりアポトーシスを誘導していると考えられた。
5)D8ノックアウトマウスの作成を進めた。
6)D8と相同性が高くドメイン構造も類似した3種類のタンパク質をコードする遺伝子(D8-2、D8-3およびD8-4)が存在し、D8ファミリーを構成していることを見出した。D8ファミリーの各cDNA全長を単離し全構造を明らかにし、ノックアウトマウスの作製を進めた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】15,400千円 (直接経費: 15,400千円)