モノクローナル抗体による酵素の免疫組織化学的研究、特に胎児性偏倚を示す酵素について
【研究分野】解剖学一般
【研究キーワード】
モノクローナル抗体 / グルタチオンSトランスフェラーゼ / ガンマグルタシルトランスペプチダーゼ / 免疫組織化学 / ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ / ラット
【研究成果の概要】
酵素の胎児性偏倚現象は、酵素の産生機転、生理的機能、酵素蛋白合成の遺伝的支配の研究上、興味深い現象である。本研究においてはグルタテオンの分解、転位に関与する酵素であるγ-GTP,GST-π、GST-εの3種の移転酵素の成体および胎児期における発現過程の検索をモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学を行い、これらの酵素の局在を光学顕微鏡レベルおよび電子顕微鏡レベルで明らかにする。
1.抗原としての酵素の精製
(1)γGTP-ヒト腎臓より刷子縁部分のフラクションをパパインを用いて採取し、硫安90%飽和分画を作成し、その分画を透折の後セファデックスG-150を用いてクロマトグラフィーを行い、精度の高い酵素を得た。(2)GST-π、GST-ε-ヒト胎盤および肝臓をホモジエナイズした後、遠心、濾過、イオン交換クロマトグラフィー、グルタチオン結合担体を用いたアフィニティークロマトグラフィーの操作により、胎盤からGST-π、肝臓からGST-εを精製した。
2.モノクローナル抗体の作成
上記の高度精製した酵素をBalb/cマウスに免疫し、リンパ球とSP-2骨髄腫株との細胞融合を行い、ハイブリドーマを得た。産生された抗体はいずれもIgGl(K)であった。特異性はELISA、PAGE後のウェスタンブロット、抗原とのバインディグ・アッセイにより確認した。
3.ヒト組織における免疫組織化学的検討
免疫組織化学的検索にはモノクローナル抗体を第一抗体としたABC法を用いた。γGSTは腎臓の近位尿細管の刷子縁、肝臓の毛細胆管および小葉管胆管の管腔側細胞膜、GST-πは胎盤のSyncytiotrophoblast、GST-εは肝細胞の細胞質に局在を認めた。
【研究代表者】