真珠の質を決定する真珠層の炭酸カルシウム結晶の厚みの調整機構の解明
【研究キーワード】
バイオミネラリゼーション / 炭酸カルシウム / 真珠 / アラゴナイト / アコヤガイ / キチン / 有機基質 / 結晶成長
【研究成果の概要】
本研究は、アコヤガイの貝殻の真珠層形成において、1「有機薄膜の分泌調節」、2「有機薄膜の自己組織化」、3「炭酸カルシウム結晶成長制御」の3つのパートに分け、それぞれについて研究を進めることで、真珠層形成の分子メカニズムについて明らかにすることを目的としている。1「有機薄膜の分泌調節」について、これまでに検討した固定化方法、樹脂を用いて超薄切片を作製し、電子顕微鏡内で金ナノ粒子によるキチン合成酵素の局在解析を行った。特定の周期に金ナノ粒子が配置しているように観察されたため、キチン合成酵素の局在そのものが炭酸結晶の厚みを制御している可能性が示唆された。2「有機薄膜の自己組織化」について、分泌されたキチンと強固に結合し、有機薄膜形成に強く関係すると思われるメチオニンに富むタンパク質について、どのような相互作用で凝集しているのか合成ペプチドなどを用いて解析を進めている。3「炭酸カルシウム結晶成長制御」について、真珠層の炭酸カルシウム結晶形成に関与するタンパク質であるPifの繰り返し配列であるDDRKモチーフが、どのように炭酸カルシウムと相互作用するのかNMRを用いた構造解析を行った。特にN末端のDが2番目と5番目、6番目のDと挙動が異なる様子が見られたため、2021年度は特にN末端のDについて着目し、N末端をGにした場合とDにした場合とで比較を行った。その結果、N末端をGにした方が4つのDが同一平面状に配置し、炭酸カルシウム結晶の特定の面に吸着する可能性が高まることが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
永田 宏次 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
豊福 高志 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 | 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム) | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
川野 潤 | 北海道大学 | 理学研究院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
木下 滋晴 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)