アブラヤシ農園の拡大が東南アジア熱帯林の水・炭素循環に与えるインパクト
【研究分野】森林科学
【研究キーワード】
フラックス / 土地利用変化 / 物質循環 / 気候変動
【研究成果の概要】
熱帯林域において、天然林からアブラヤシ農園への土地利用変化は、熱帯林破壊の元凶であり、生物多様性や地域環境に及ぼす悪影響が指摘されているが、その定量的評価は絶対的に不足している。本研究では、マレーシア・ボルネオのアブラヤシ農園拡大域においてアブラヤシ農園造成が地域環境に及ぼす影響を明らかにするため、アブラヤシ農園の個体レベル~農園レベルでの水・炭素循環とその環境応答を主にタワーフラックス観測により定量的に明らかにした。さらに、近隣の熱帯雨林天然林の同様のデータセットとの比較により、土地利用変化の影響を考察した。
【研究の社会的意義】
世界のヤシ油需要は常に増加しており、特に東南アジアにおいて、アブラヤシ農園が急速に拡大しており、今後さらに加速すると予測されている。アブラヤシ農園への土地利用変化は、熱帯林破壊の元凶であり、生物多様性や地域環境に及ぼす悪影響が指摘されている。ヤシ油生産国にとってアブラヤシ農園は国全体にとっても地域経済にとっても重要な収入源であり続けている。現在のアブラヤシ農園拡大の速度から考えて、ヤシ油生産と環境保全のバランスを取る合理的な理由を見つけることが喫緊の要事である。本研究の成果は、その合理的理由の大勢を決するものと考える。
【研究代表者】