空間計量経済学における最重要課題への挑戦と新たな展開
【研究キーワード】
空間計量経済学 / 空間重み行列 / ビッグデータ
【研究成果の概要】
空間計量経済学の最重要課題を解決するとともにさらなる発展を目的として,[Ⅰ]空間重み行列の内生化に関する実証研究と新たなモデル開発 [Ⅱ]ビッグデータへの新たな対処法の開発 [Ⅲ]組成データ解析を応用した空間計量経済学の新たな展開 [Ⅳ]研究成果の公開・利用促進と日本における空間計量経済学分野の研究者の育成 の四つの課題に対し,それぞれ以下のとおり研究を実施した.
[I] 空間重み行列Wの内生性を扱う方法論を整理した.また,昨年度に引き続き従来の空間計量経済モデルを計量経済学的に拡張することで実証研究への適用性を広げるため,いくつかのモデルにおいて新たに空間的自己相関を考慮することを試みた.
[II] 100万オーダーの大規模な不動産データを用いて,深層学習,XGBoost等に代表される機械学習モデルと空間統計モデルの予測性能の比較を試みるとともに,新たな空間予測モデルの開発を行った.また計算効率を維持しながら,空間効果とその非空間効果を安定的に識別する方法,ならびに幅広い非ガウスデータをモデル化する方法を開発した.
[III] 昨年度に引き続き,地理的加重回帰モデル(Geographically Weighted Regression: GWR)などに代表される「空間異質性」を考慮するモデルを,組成データに適用可能となるように拡張し,モデルの改良を行った.
[IV] 本申請課題のメンバーが中心となって誘致した,空間計量経済学に関する国際組織であるSpatial Econometrics Association (SEA)の2021年度大会の全日程を確定させ, 5月26日-28日で開催するための準備を概ね完了した.前年10月に主催した国際ワークショップに参加した研究者からも多くの参加の見通しを得た.
【研究代表者】