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植物葉緑体には高濃度(20-50mM)のアスコルビン酸(ビタミンC)が還元型(AsA)で存在している。植物におけるアスコルビン酸は二つの機能、活性酸素種を消去する抗酸化作用と細胞の分裂や伸長を調節する働きが知られていた。本研究では、第三の機能としてAsAが二つの窒素代謝反応(亜硝酸を還元しアンモニアを生成する亜硝酸還元酵素(NiR)反応とグルタミン(Gln)から2-オキソグルタル酸(2-OG)にアミド基を転移しグルタミン酸(Glu)を生成するグルタミン酸合成酵素(GOGAT))への電子供与体になるとの仮説をたて実験的検証を行った。
本年度はGOGAT反応について検証した。葉緑体ストロマによるGOGOAT反応では、AsAおよびフェレドキシン(Fd)の添加により、GlnからGluの生成が促進された。フランス農学研究院(INRA)において、合成されたGOGAT,Fd,フェレドキシンーNADP^+-還元酵素(FNR)を用いて種々条件で実験をおこなった。最も重要な結果は、20mMAsA-Fd-GOGAT系のGlu生成量は、0.14mMNADPH-FNR-Fd-GOGAT系と同等量であった。Glu生成では、 Glnから2-OGへのアミドの転移とGlnから脱アミド(アンモニアとGluの生成)が考えられた。そこで[^<15>N-amide]-標識Glnを用いたGOGAT反応で生成するGluの起源を検証した。NADPH供給量に応じてGlnアミドの2-OGへの転移があったが、NADPHが不足したり、アスコルビン酸のみの存在ではアンモニアの生成と非^<15>N標識Gluの生成があり、脱アミド反応が進行することが判明した。

【研究分担者】
米山忠克	東京大学	大学院・農学生命科学研究科	教授	(Kakenデータベース)