東アジアにおけるモアザンヒューマン文化の研究調査とそのデザイン理論への接続
【研究キーワード】
speculative ethics / more-than-human / ACI / 発酵 / 微生物 / モアザンヒューマン / 東アジア / デザイン理論
【研究成果の概要】
本研究は,近年,特に欧米を中心として活発になっている脱人間中心主義の議論のなかで扱われる「モアザンヒューマン」,つまり人間以外の自然存在を「人間以上の存在」と捉え,人間と自然の対称性を回復するために用いられる概念を,アジア各地の発酵食品産業における自然観,宗教的価値観,そして文化背景と接続した上で,情報技術の設計に応用するフレームを確立することを目的とする.
そのための方法として,初年度より日本,韓国,台湾といった諸地域において発酵食品の生産や農業,その他の関連する文化活動に携わる人々のもとで現地調査を行い,東アジア地域に共通もしくは相違するモアザンヒューマン概念の発達を探る計画を立てていた.
しかしながら,2021年度は新型コロナウィルスのパンデミックが一向に収束せず,日本から海外への渡航および日本国内の県をまたいだ移動も厳しい状況が続いたことから,当初の研究計画通りに進めることが難しかった.そのため,チーム内で定期的に研究のリサーチとディスカッションを重ね,その中で国内外の文献の渉猟と技術動向の調査を行った.関連して,代表者は米国の発酵食の専門家であるSandor Ellix Katz氏の著書『メタファーとしての発酵』(ISBN-13:978-4873119632)の監訳を務め,2021年9月15にオライリー・ジャパン社より刊行された.本書では物理現象としてではなく,人の生き方や哲学を考える上での比喩として発酵を捉えるという思想が説かれており,本研究課題の目的とも親和性が高いものである.本書の刊行後には,複数の一般参加型パブリックイベントにおいて本研究課題の問題意識に関する講義を行い,ディスカッションを重ねたことで,今年度の活動への示唆を得た.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
ソン ヨンア | 法政大学 | デザイン工学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
城 一裕 | 九州大学 | 芸術工学研究院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)