失われた野性味から明らかにする自然環境特異的な生体調節のメカニズム
【研究キーワード】
ストレス応答 / 繁殖 / QTL / メダカ / 野生 / QTL解析 / 次世代シーケンサー / 定量PCR / ストレス / リアルタイムPCR / HPG軸 / HPA軸 / 行動
【研究成果の概要】
本研究では、野生と家畜の違いと同じように、ペット化された生物の行動や生理学的性質が変化することに着目し、それに関与する遺伝的背景を解析した。遺伝学的解析に便利なメダカを材料にした。野生由来のKiyosu系統と、実験室で継代された系統であるd-rRのF2ハイブリッドを作成し、量的形質遺伝子座（QTL）解析を行うことで、多産やストレス応答などの原因となる遺伝子座の同定を試みた。１回目は２０９個体、２回目は７７個体を用いて各種形質の定量化、シーケンスを行った。そうしたところ、生殖とストレス応答に関する形質において、相関する遺伝子座を同定することができた。
【研究の社会的意義】
ニワトリをはじめとする家畜に関しては、多くの研究が行われ、家畜化に関する形質に相関する遺伝子座・遺伝子が同定されている。その一方で、家畜以外に関してはそのような研究はほとんど行われてこなかった。今回、メダカを用いて解析を行ったことで、メダカのペット特有の遺伝変異について、遺伝子座レベルでの同定を行うことができた。単一遺伝子に帰着するまでには更なる研究が必要ではあるが、ゲノム編集が多くの生物に行えるようになってきており、将来的に養殖魚にこの知見を応用すれば、養殖の効率化につながる可能性もある。
【研究代表者】