多面光波変換型スケーラブル光演算回路の創成と深層ニューラルネットワーク応用
【研究キーワード】
集積フォトニクス / ニューラルネットワーク
【研究成果の概要】
本研究は、多面光波変換法に基づくスケーラブルな光ユニタリ変換回路を用いることで、任意の線形行列演算を光領域で高速に実現することを目的とする。このような回路を深層ニューラルネットワークの線形処理部に適用することで、チップ内を光が伝搬するだけで演算が完了する究極的に低消費電力かつ低遅延な処理が可能になる。具体的には、数ミリ角の半導体チップ内に多数の光回折部と光位相シフタ部を高密度に集積し、光の回折と波面制御を繰り返すことで任意の線形演算を行う。従来手法とは本質的に異なり、チップ内での光の回折現象を直接利用することで、光波の空間並列性のメリットを最大限活かしながら、作製誤差に対してもロバストな、真にスケーラブルな光演算回路を実現することを目指している。
2021年度は、まず、10入力光ユニタリ変換器を試作し、その特性を評価した。多面光波変換法特有の作製誤差耐性に起因して、両偏波モードに対して動作することを実証した。また、チップサイズの削減に向けて、非等分配型多モード干渉カプラを用いた構成を提案し、インジウムリン素子を用いて有効性を実証した。さらに、スケーラビリティに関して、2×2マッハツェンダー干渉計をメッシュ状に接続した従来手法との比較検証を行った。その結果、従来手法では規模拡大に伴い作製誤差耐性が劣化するのに対して、多面光波変換型素子ではよりロバストになるという特異な性質を明らかにした。本成果は、多面光波変換手法に内在する特徴であり、大規模な光演算を実現する上で有効になると考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2021-07-09 - 2025-03-31
【配分額】26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)