カルサイト結晶の生成現象と生成装置・操作の研究
【研究分野】反応・分離工学
【研究キーワード】
カルサイト / 中間体 / 固体結晶添加 / 結晶転移 / 反応晶析 / 静置晶析 / 平均過飽和度 / 個体結晶添加 / 炭酸カルシウム / 多形制御 / バテライト / 沈殿
【研究成果の概要】
本研究では、溶液反応によって機能性物質としての所望粒径の微粒子を生成するプロセス設計法開発のための基礎研究を、難溶性微粒子の生成現象としてCaCl_2とNa_2CO_3の両溶液の液液反応による炭酸カルシウムの生成を対象に行った。この反応ではまず中間体微粒子が生成し、それがカルサイト、バテライト等に転移することに着目し、中間体が存在するスラリー中にNaCl結晶あるいは他の無機塩結晶を添加することにより、操作条件によって中間体からカルサイトが優先的に生成することを見出し、中間体存在下でのカルサイトの成長現象の検討を行った。ここで生成するカルサイトの粒径及び結晶個数は原料濃度や添加する結晶量及びその粒径の影響を受けており、それらの相関式を提出した。また、Na_2CO_3の代わりにNaHCO_3とCaCl_2の反応においてもカルサイトが優先的に生成する条件を見出した。この系において生成するカルサイトは粒径の分布幅が広く、それはNaHCO_3の分解過程がカルサイトの生成を促進しているためと考えた。ここで生成するカルサイトは、NaHCO_3の反応量に影響を受けており、それらの相関式を提出した。しかし、ダブルジェット晶析法を用いた場合、カルサイトとバテライトの混合物が生成し、カルサイトを選択的に生成する条件を見出すことができなかった。これらの攪拌系に対し冷却された静止溶液中での炭酸カルシウムの晶析現象について検討を行った。初期濃度が0.02M〜0.1MのNa_2CO_3/CaCl_2水溶液を313Kに保った四口フラスコ内に仕込み30S攪拌混合し懸濁液を箱型晶析装置の平板面上(293K)に0.05〜0.2g滴下し、経時変化を測定した。その結果、懸濁溶液のpHは徐々に減少し、Na_2CO_3及びCaCl_2の初濃度が0.1mol/lでは静止後約1.5min経過後にほぼ一定となった。pHの変化より算出した平均過飽和度が100〜250の条件下ではアラゴナイト、バテライトが多く生成したが、50以下または、280以上ではカルサイトの生成割合が、高くなることを明らかにした。
【研究代表者】