超イオン伝導体における単結晶を用いたイオン相関の解明
【研究キーワード】
超イオン伝導体 / 単結晶 / 結晶構造解析
【研究成果の概要】
高濃度にキャリアイオンを含む超イオン伝導体では、古典的な単一イオンホッピングによる伝導ではなく、キャリアイオン同士の相関による協奏的な伝導が主たるメカニズムであると考えられている。我々はこれまでリチウム超イオン伝導体の単結晶を用いた研究から、高いイオン伝導率を実現するためには適切な大きさのイオン相関を持たせることが重要であると明らかにしてきたが、その制御方法は自明ではない。本研究では超イオン伝導体の大型単結晶試料を育成し、精密結晶構造解析などを通じてイオン相関の最適な制御方法を探るとともに、超イオン伝導体のイオニクスに対する包括的な理解を目指している。
超イオン伝導体は多くの場合、キャリアイオンのサイトを複数有しており、組成や結晶構造、温度変化によってキャリアイオンの分布は変化する。このような変化はイオン相関と密接に関連すると考えられ、両者の関係を明らかにすることで制御指針の確立が可能である。そこで現在最高のイオン伝導率を有するリチウム超イオン伝導体Li10GeP2S12(LGPS)をモデル物質とし、温度変化によるリチウムイオン分布の変化を結晶構造解析から調べた。その結果、昇温に伴い格子定数の増大などは見られるもののリチウムイオンの分布変化は小さく、イオン相関は比較的温度変化に鈍感であることがわかった。次に、イオン相関と構成元素や結晶構造の関係を明らかにすべく、LGPSの元素置換体の大型単結晶育成を試みている。原料や育成条件の検討により、格子定数の異なる単結晶が得られており、元素置換体の単結晶育成に成功したことが示唆される。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)