マイクロマシン技術によるDNA注入用微細中空針アレイ
【研究分野】知能機械学・機械システム
【研究キーワード】
マイクロマシン / マイクロインジェクション / DNA注入 / 細胞 / バイオ技術 / 遺伝子工学
【研究成果の概要】
本研究の目的は、マイクロマシン技術を用いて微細な中空の針アレイを作り、それを用いて多数の細胞へ同時にDNA注入を行うシステムを得ることである。微細な注射針のような中空針を規則正しく並べたものを作り、同様の間隔で保持した細胞に突き刺し、針の穴を通してDNAなどの遺伝物質を注入することが最終目標である。中空針アレイは直径1〜5μm、厚さ0.5〜1μm、高さ20〜50μmの微細な針を数十μm間隔で並べたものである。また細胞保持ホルダーは、針のアレイ間隔に合わせて基板に貫通穴を開けたもので、いずれもシリコンの微細加工技術を援用したマイクロマシニング技術で製作する。
本研究の結果、上記の成果を得た。
(1)微小中空針アレイのプロセスを確立した。ICP/RIE装置(誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置)により直径5μmで深さ100〜200μm程度の細長い穴をシリコン基板に開け、次にその内部を酸化する。さらに裏面から基板をエッチングしてゆき、穴の底面の酸化膜が表れた時点で短時間HFに浸して、貫通穴とする。再度裏面からのドライエッチングを行い、酸化膜でできた中空針が20〜30μm突き出るようにする。流路につながる液だめは、凹みを付けたガラス基板をシリコン基板の表面に接合して形成する。
(2)上記のプロセスで製作したDNA注入デバイスを、タバコ細胞を培養した細胞塊に刺し、DNAを含む水溶液を注入した。24時間培養した後、特有の色素が発色し、DNA注入の成功を確かめることができた。
(3)注入デバイスと並行して、細胞をアレイ状に捕捉するため、基板に2〜3μmの細孔が貫通したデバイスを作った。貫通穴から水を徐々に吸引する時の力で、細胞を整列して保持することができた。
【研究代表者】