三次元マイクロ流体デバイスを応用した多重微小界面の構築と機能性化学反応への応 用
【研究キーワード】
マイクロ流体デバイス / 多重微小界面
【研究成果の概要】
本年度は、安定な多重微小界面を生成可能なマイクロ流体デバイスを開発し、それを用いて実際の化学合成反応の実施を試みた。詳細は下記のとおりである。
①昨年度開発した多重微小界面生成デバイスを改良し、安定かつ再現性のある微小界面を生成可能なマイクロ流体デバイスの確立に成功した。これを用い1ミクロン以下の液滴の生成とその分離・融合に成功した。また流路内でのマイクロ液滴の詳細な動的挙動解析を行い、より効率的な多重界面化学合成反応への応用を試みた。
②昨年度開発した反応溶液を個別にマイクロ液滴形状でトラップするデバイスを用いて、たんぱく質の結晶化を試み、18度24時間程度のマイルドな環境下で百ミクロン以上の大きさのたんぱく質結晶を得ることに成功した。これを破壊せずにデバイス外に取り出し、電子顕微鏡観察と元素分析を行い、たんぱく質結晶であることを確認した。
③昨年度までの予備実験をもとに、実際の化学合成を行った。金属錯体含有たんぱく質について、UV-VISの分析結果から従来法では合成困難だった化合物を得ることに成功したことが示唆されたが、確定的な結果を得るにはまだいくつかの手法での化合物の分析・同定が必要である。
④生成された化合物のインラインでの反応の過程について解析を行うため、マイクロ流体デバイス内での合成物のラマン分光・赤外分光・可視分光等の観察方法の検討を行った。その結果蛍光測定法・ラマン分光法が一番感度が良いことがわかり、現在本法で流体デバイス内を観察するシステムの開発に着手している。
【研究代表者】