腫瘍微小環境におけるアミノ酸代謝適応機構の解明
【研究キーワード】
がん微小環境 / アミノ酸 / がん代謝 / 転写・代謝制御
【研究成果の概要】
腫瘍微小環境はがんの増殖・転移・浸潤・薬剤耐性などの悪性化に重要な役割を果たす。本研究は、腫瘍微小環境におけるアミノ酸代謝適応機構の解明を目的とし、腫瘍微小環境における(1)アミノ酸欠乏感知機構の解明、(2)アミノ酸欠乏に対する細胞適応機構の解析、(3)低酸素・低栄養・低pHのストレス適応とアミノ酸代謝のクロストークの解明、及び、(4)現存する化学療法との併用における相乗効果の検討、について検討する。本研究から低栄養で悪性化するがん細胞を攻略する画期的ながん治療法の開発や、難治性疾患である先天性アミノ酸代謝異常疾患の病態生理解明や治療法開発にも応用可能である。
本年度は、昨年度に引き続き、研究項目(1)と(2)について検討した。
(1)アミノ酸欠乏に対する細胞適応機構の解析から、mTOR非依存的な1アミノ酸由来の適応機構をメタボロ・プロテオーム解析で同定しつつある。また、1アミノ酸添付培地実験の補完実験として、通常培地から1アミノ酸のみを抜いた培地を使用し検討し、細胞小器官レベルでの解析にも挑戦し、ミトコンドリアや小胞体が低栄養でダイナミックに変動することや1アミノ酸でレスキューできることを発見した。今後このメカニズムを詳細に検討する予定である。
(2)低酸素・低栄養・低pHのストレス適応とアミノ酸代謝のクロストークの解明から、ストレス適応機構と協調的に働く、mTOR複合体を介さない新たなアミノ酸代謝研究が注目されている。申請者は、ストレス適応機構とアミノ酸シグナルが協調的に働くかどうか、エンハンサー領域のモチーフ解析や発現遺伝子群の上流パスウェイ解析やメタボロ・プロテオーム解析から解明する予定である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)