火山ガス放出量の時間変動に関する研究:観測装置の開発と短周期変動要因の解明
【研究分野】固体地球惑星物理学
【研究キーワード】
火山 / 火山ガス / 噴火 / 遠隔測定 / ガス放出量
【研究成果の概要】
本研究課題では、火山からのガス放出量の短周期時間変動を測定するため、火山噴煙中の二酸化硫黄カラム量の2次元分布を測定できるような装置を新たに開発し、短周期変動について知見を得ることが目的である。CCDカメラに二酸化硫黄の紫外吸収帯のある波長域の紫外バンドパスフィルタを取り付けて観測することで、二酸化硫黄カラム量の2次元分布を可視化する方法を開発した。これにより、これまで難しかった、秒スケールでの二酸化硫黄放出量の測定が可能となった。
平成18年度の前半は、これまでの観測装置をさらに改良し、2台のCCDカメラに上記のバンドパスフィルターと二酸化硫黄吸収がない波長域のバンドパスフィルターをそれぞれ装着した。同時に撮像した2つのCCDカメラでの画像を合成することで、約2秒間隔で二酸化硫黄噴煙の分布の画像を撮影できるようになった。桜島火山の観測では、この新しい装置を用いて火山ガス放出率の秒スケールでの変動の様子を明らかにした。そして、二酸化硫黄放出率が数分の周期で平均値に対して±80%程度変動していることが明らかにすることができた他、この周期が約8.3分と3.9分であることが分った。
9月末から10月始にかけて、イタリアのエトナとストロンボリの2火山で観測を行った。特にストロンボリ火山での観測では、小爆発に伴う二酸化硫黄放出率の変動の様子も二酸化硫黄分布映像でとらえることができた。
噴煙中の二酸化硫黄を可視化する測定手法をまとめた論文をGeophysical Research letters誌に発表した(次頁の研究成果参照)とともに、10月には熊本県で開催された日本火山学会で桜島での成果を発表した。また、12月には米国サンフランシスコで開催されたAGUの秋季大会でこれまでの成果の発表を行った。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)