キラル敏感な新規時間分解分光法の開発による分子キラリティーのダイナミクスの解明
【研究分野】物理化学
【研究キーワード】
キラリティー / 非線形分光 / 和周波発生 / 表面・界面 / ハイパーラマン分光 / 振動分光 / 時間分解分光 / 非線形分光法 / 界面・表面 / 分子分光
【研究成果の概要】
本研究では、高感度なキラルティー検出を可能にする新規非線形分光法の開発を行った。二次非線形分光の一種である振動和周波発生(VSFG)分光法を用いたキラルVSFGにより、透過型のヘテロダイン検出キラルVSFG分光を世界で初めて実現した。それにより、従来数10分を必要としていたキラル試料について、1秒程度で良好なスペクトルを得ることを実現した。
さらに、キラルVSFG信号がバルクから発生するのか、界面から発生するのかという空間的起源について、偏光配置依存性を測定することで、この問題を解決した。これにより、厳密な電子非共鳴条件下では、キラルVSFG分光法が界面選択性を持つことを示した。
【研究の社会的意義】
本研究では、ヘテロダイン検出キラル振動和周波発生分光法を用いることで、従来のキラティーを研究する振動分光法と比較して、はるかに高感度なキラリティー検出を可能にした。多くの生体分子はキラリティーを持つため、キラリティーの検出およびエナンチオマー(鏡像異性体)の区別は生物・医薬分野において重要である。本手法をさらに発展させることにより、生体分子のキラリティーの高感度検出も可能になると考えられる。さらに近年、単分子膜レベルでのキラリティーによる物性制御が行われつつある。本研究で開発した手法は、単分子レベルのキラリティーも容易に検出・区別可能であり、今後物性分野でも使われる可能性が大きいと考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2017-04-01 - 2020-03-31
【配分額】20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)