高強度レーザーの組み合わせによる真空の構造の解明
【研究キーワード】
素粒子物理実験 / 真空 / 量子電磁気学 / 自由電子レーザー / 素粒子実験 / レーザー
【研究成果の概要】
「真空」に潜む構造(量子電磁気学の場、未発見粒子の場など)を明らかにするために、2種類の方法で研究をおこなっている。
1つ目は、大強度フェムト秒赤外レーザーによって真空をポンプし、X線自由電子レーザー(SACLA)の硬X線にてプローブをおこなう方法である。2019年6月にSACLAにて実験 (0.6TW fs レーザーでポンプ、8.4keV X線でプローブ)をおこない、データを取得した。このデータの解析を進め、時間的、空間的な衝突を保証することができた。衝突の結果についてほぼ確定したところである。このため、査読付き学術誌に投稿するための準備を進めている。また、500TWのフェムト秒赤外レーザーへのアップグレードをにらみ、バックグラウンドなどの排除方法などを検討した。特に、X線の偏光の利用はS/Nを大きく向上させると考えられる。
2つ目の手法は、SACLAの軟X線のレーザーをX線のビームラインまで導き、両者を衝突させる方法である。ビームラインの基礎設計を進めつつ、衝突後のシグナルの計算をおこなった。これに基づき、衝突点のチェンバーを設計、作成している。チェンバーに関しては、低温検出器の使用も視野に入れ、冷凍機が取り付けられる構造とした。また、データを取得するための高速、高分解能のデジタイザーを導入した。
この他にも、硬X線を分岐して衝突させる方法も検討した。この場合、重心系エネルギーが上げられるために、散乱断面積は有利となるが、分岐、方向変換時のロスが問題となることがわかった。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)