相対論的ドリフト電流を持つプラズマシートの磁気リコネクション
【研究キーワード】
磁気リコネクション / 相対論プラズマ / パルサー風 / 非線形 / 無衝突プラズマ / プラズマ加熱 / 粒子加速
【研究成果の概要】
近年、磁気リコネクションの素過程は、高エネルギー天体現象から爆発的にX線やガンマ線を放射するメカニズムとしても注目されており、特に強磁場天体での相対論的なプラズマ領域での性質を理解することが急務となっている。特に、磁気エネルギーの解放率を理解することが、爆発的現象を考える上で重要である。従来より、リコネクションのエネルギー解放率は、電流層の厚みが厚い場合は非常に遅く、薄い場合は大きくなると考えられてきた。
初年度は、反平行磁場を維持する電流層のドリフト速度が光速に近くなる場合、すなわち、薄い電流層での磁気リコネクションについて研究を行った。ドリフト速度の慣性質量効果が効いてくると、無衝突系での実効的電気抵抗が小さくなり、リコネクションの成長が著しく抑えられることを明らかにした。
今回は、電流層の厚みが厚い場合について、爆発的成長が起きるかどうかについて調べた。線形段階では、従来より知られている無衝突リコネクションの理論解析の結果とPICシミュレーションの結果は完全に一致して、線形成長率は非常に小さいことを確かめたうえで、非線形発展に着目した。リコネクションの成長が始まって繋ぎ変わった磁場強度が増え始める初期の非線形段階では、成長率が大きくなり、さらにその成長率は、電流層の厚さには寄らないことをPICシミュレーションで見出した。また、この計算結果を記述する、非線形発展の理論を提唱した。PICシミュレーション結果と理論解析を総合的に議論した成果は、Physics of Plasmasに出版された。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)