統治空間としての城の生成と機能をめぐる歴史考古学的研究
【研究分野】西洋史
【研究キーワード】
中世フランス / 考古学 / 城 / 天守塔 / 大広間 / 礼拝堂 / 住空間 / フィリップ2世 / クーシー城 / 写本挿絵 / 広間 / ロッシュ城
【研究成果の概要】
10世紀末から北フランスで建設が始まった初期の石造城砦を調査・研究の対象として、その生成の過程と、城が有していた社会機能を多角的に明らかにした。
そこでは、古代ローマの建築様式の影響を受けて建てられた最初期の方形の天守塔が、城砦としての防衛機能を追求した結果、13世紀初頭までに、円筒形天守塔(「フィリップ式天守塔」)となり中世的頂点を迎えた。しかし、城の完成とその結果としての統治の安定の結果、円筒形天守塔に欠けていた居住性を求めて、統治のための公的空間である大広間と城主の居住空間は、城壁に内接する方形の館に移ることとなった。天守塔には、政治的象徴性だけが遺されることとなる。中世の城は、個々の城の軍事的機能と政治ないし統治機能の必要性に応じて、多様な形状を取ることになるのである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2008 - 2010
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)