地域公共財を供給する政府間の競争に関する理論的・実証的研究
【研究分野】経済政策(含経済事情)
【研究キーワード】
地域公共財 / 空間競争 / 政府間競争 / インフラストラクチャー / 囚人のジレンマ / インフラストラクチェー
【研究成果の概要】
(昨年度からの継続研究のため、昨年度の実績も含む)
本研究では、財の消費が地域的に限定されるような公共財(地域公共財)を供給する地方政府ないし一国の政府の間の競争を理論的に分析し、厚生に関する含意を明らかにした。その際、政府の意思決定に関して、意思決定が戦略的な相互作用を伴うこと、政府ないし政府の統治地域の空間的な位置関係が意思決定に重要な影響を及ぼすこと、決定されるべき変数が連続的であるというよりも離散的であると見なされること、の三点に注目した。
初年度は国際空港のようなインフラストラクチャーを念頭において理論分析を進めたが、本年度は対象をより一般的な公共施設に拡張した。消費者は、公共施設を利用することで地域公共財(より適切にはサービス)を消費する。その際、その公共施設を運営する地方政府に利用料を支払わなくてはならない。まず始めに、政府がどのような利用料の水準を選ぶかを理論的に分析し、ついで、政府がどのような公共施設投資を行うかを考察した。主な結論は以下の2点である。
第一は、コーディネーションの失敗の生じる可能性があることである。このとき、地方政府は、近隣の地方政府と協調して公共施設への投資を抑制することにより互いにより良い状況に移行できるにもかかわらず、それができない。つまり、公共施設に過剰な投資がなされるようになるのである。
第二は、地方政府の競争の結果出現する均衡の結果と、社会的に最適となる結果が、必ずしも一致しないことである。たとえば、均衡において隣り合う政府がともにその公共施設に投資する場合でも、社会的には、片方の政府、たとえば大きい地方の政府、だけが投資するのが最適である、ということが起こりうる。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)