生体分子システムにおける揺らぐ応答の分布設計
【研究キーワード】
生体分子システム / 確率システム / マイクロ流路 / 数理最適化
【研究成果の概要】
本年度は,確率的な揺らぎを有する生体分子システムの「応答分布」を解析・設計するためのシステム論的な基礎理論の構築を進め,その実証実験のために必要なマイクロ流体実験系の構築,および動作検証を行った.
基礎理論の構築では,まず,生体分子システムの応答分布を解析・設計するツールの開発を念頭に,定常状態におけるシステムの揺らぎを評価するための統計的な指標を定義し,シミュレーションによりそれらの指標が解析や設計に有用であることを確認した.その後,それらの指標を数理最適化を用いて系統的に計算するためのアルゴリズムを構築し,提案アルゴリズムを人工生体分子システムの解析・設計問題へと応用することで,数値例を通して提案法の理論的な妥当性や有用性を確認した.さらに,その過程で得られた知見をもとに提案アルゴリズムを計算量の面で改良した.
実験系の構築では,生体分子システムの応答を観察するために,様々な周波数や濃度の化学的な入力をシステムに印加し,その入出力応答を経時観察するためのマイクロ流体デバイスを構築した.具体的には,電気回路と流体のアナロジーを利用して,電気回路におけるD/A変換に対応する機構をマイクロ流体デバイスに実装し,既存のデバイスに比べ高速かつ正確な入力生成を実現できることを実証した.さらに,電気回路とのアナロジーを用いてデバイスの高速化や精度向上につながる理論的な考察を行うことができ,系統的なデバイスの改良が可能になった.また,理論の実証実験に利用するための遺伝子組み換え大腸菌や酵素反応系に関する基礎データを得た.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
宮廻 裕樹 | 東京大学 | 大学院情報理工学系研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2025-03-31
【配分額】17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)