暗号プロトコルの数理的構造と検証補完に関する基礎研究
【研究分野】計算機科学
【研究キーワード】
Cryptography / Anthentication Protocol / Verification / 暗号プロトコル / 仕様検証
【研究成果の概要】
本研究の目的は次の3点であり、それぞれ以下のような研究結果となった。
●プロトコルの数理モデル化
攻撃可能なプロトコルを経験的に補完する例は知られているが、それをプロトコルすべてのセキュリティホールに適用すると冗長性を生じる。このことに注意して、まず暗号化関数と補助的な情報をメッセージに挿入するだけの数理モデルを考察した。これは数理的なモデルでありモノイドとなる。
●正規の通信と攻撃的通信の分類
一般にプロトコルは公開されており、これを悪用した攻撃は正規の通信との分別が困難である。上述したモノイドモデルでの攻撃的通信を分別することは可能である。
●効率に関する考察
冗長性はプロトコルの効率性と反比例する。このことについては上述のモデルだけでは議論が不十分であることが分かった。さらに一般的なモデルを構築することが必要となるが、メッセージ集合を文字列とし、プロトコルの実行はメッセージ間の通信と時系列関係によるグラフ(通信グラフ)と考え、文字列としたメッセージが通信グラフの頂点に割り当てられるような構造を考えた。しかしながら、予想していたよりも複雑な構造を持つことがわかり、この一般的なグラフモデルでのプロトコルの安全性と冗長性に関する理論的な結果を得るにはいたらなかった。さらなる研究が必要である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2002 - 2003
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)