「被らないVR」を実現
頭部非装着で没入体験を可能にする新技術 システム情報科学研究院 福嶋政期 准教授
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 重量や装着負担、衛生管理など従来の課題を解決するとともに、HMDやプロジェクション方式に続く新しいVR提示方式として、遠隔操作、医療、教育など幅広い分野への応用が期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
2026.09.30
研究成果Technology
発表のポイント
VRゴーグル(Head-Mounted Display)の「Mounted(装着)」という発想を見直し、頭部に何も装着しない「被らないVR」を開発しました。空中像光学技術を用いて、VRゴーグルと同様に両眼へ立体映像を提示し、椅子に座るだけで即座にVR空間へ没入できます。
重量や装着負担、衛生管理など従来の課題を解決するとともに、HMDやプロジェクション方式に続く新しいVR提示方式として、遠隔操作、医療、教育など幅広い分野への応用が期待されます。
発表概要
VR(バーチャルリアリティ)技術はゲームだけでなく、教育、医療、技能訓練、建設機械の遠隔操作など、さまざまな分野で活用が進んでいます。一方で、高い没入感を実現するVRゴーグルは、重量による身体的負担や装着・調整の手間、衛生管理などが課題となり、産業現場への普及を妨げる要因となっていました。このたび、九州大学大学院システム情報科学研究院の福嶋政期准教授は、VRゴーグル(Head-Mounted Display)の「Mounted(装着)」という発想を見直し、頭部に何も装着することなく没入体験を実現する「被らないVR」を開発しました。本システムは、空中像光学技術を用いて、利用者の目の前の空間に左右それぞれの眼に対応した立体映像を提示します。映像提示装置や光学系を椅子などの環境側へ配置することで、利用者はVRゴーグルを装着することなく、椅子に座るだけで直ちにVR空間へ没入できます。本技術により、重量や装着負担、衛生管理といった従来の課題を解決するとともに、建設機械や災害対応ロボットの遠隔操作、医療・教育分野における訓練システム、エンターテインメント施設など、幅広い分野への応用が期待されます。
本研究成果は、コンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する最高峰の国際会議である米国の「SIGGRAPH Emerging Technologies '26」にて、2026年7月20日(日本時間)に現地発表・予稿集掲載されました。
従来のVRゴーグル(HMD)とMountless Aerial HMDの光学系の比較図

従来は頭部に装着していた接眼光学系を空中に形成することで、頭部へデバイスを装着することなく前方遠方に両眼立体視の虚像を提示する。
研究者からひとこと
VRゴーグルは、この50年以上で大きく進化してきましたが、「頭に装着する」という前提はほとんど変わっていませんでした。私たちはゴーグルを軽くするのではなく、Head-Mounted Displayの「Mounted(装着)」をなくすという発想を追求し、新しいVRの形を社会に広めていきたいと考えています。(福嶋政期)
論文情報
掲載誌:Special Interest Group on Computer Graphics and Interactive Techniques Conference Emerging Technologies (SIGGRAPH Emerging Technologies '26).タイトル:Mountless Aerial HMDs: Designing Non-Wearable HMD Experiences Based on Aerial Imaging Optics
著者名:Shogo Fukushima
DOI:10.1145/3799826.3812427
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