[Top page] [日刊 研究最前線 知尋] [Discovery Saga総合案内] [大学別アーカイブス] [Discovery Saga会員のご案内] [産学連携のご案内] [会社概要] [お問い合わせ]

金沢大学 研究Discovery Saga
2026年9月17日

肺がんの治療抵抗性を高める新因子「C/EBPγ」を発見

~がん細胞の形質変化(EMT)とDNA修復をつなぐ仕組みを解明~

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
肺腺がんに対する新たな標的治療の開発や、薬剤耐性克服に向けた治療戦略の構築に貢献することが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
悪性化/ゲノミクス/生存戦略/抵抗性/DNA修復/治療抵抗性/肺腺がん/DNA損傷/がん細胞/耐性克服/EBP/遺伝子/抗がん剤/肺がん/薬剤耐性
Research NEWS がん進展制御研究所、教授 鈴木 健之SUZUKI, Takeshi informationarrow_right_alt 2026/9/16

概要

金沢大学がん進展制御研究所機能ゲノミクス研究分野の鈴木健之教授、鈴木隆介博士研究員、東京都医学総合研究所の寺島農研究員(研究当時:機能ゲノミクス研究分野助教(~2024.3)、熊本大学国際先端医学研究機構特定事業研究員(2024.4~2026.3))らの共同研究グループは、肺がんの一種である肺腺がんが、治療に対して抵抗性を持ち、悪性化するプロセスを制御する新たな因子C/EBPγを同定しました。
 がん細胞は治療の過程で、上皮間葉転換(EMT:Epithelial-to-Mesenchymal Transition)(※1)と呼ばれる現象によって「抗がん剤の影響を受けにくい性質」へと変化したり、抗がん剤によって生じたDNA損傷(※2)を自ら修復する能力を高めたりすることで、治療を困難にします。
 本研究では、C/EBPγがこの「性質の変化」と「DNA損傷の速やかな修復」という二つの強力な生存戦略を操る、いわばがん細胞のしぶとさを支える核心の「ハブ」であることを突き止めました。また、C/EBPγは、DNAに結合して遺伝子を制御する役割も持ちますが、肺がん細胞の悪性化においては、DNAとの直接的な結合は必要とせず、特定の「パートナータンパク質」との相互作用を介するという独自の様式で、がん細胞の生存を有利な状態へと導いていました。
 本研究成果は、C/EBPγがEMTによるがんの悪性化とDNA修復能の増強を分子的に結びつけ、肺腺がんの治療抵抗性獲得に関与する可能性を示すものです。得られた知見は、肺腺がんに対する新たな標的治療の開発や、薬剤耐性克服に向けた治療戦略の構築に貢献することが期待されます。
 本研究成果は、英国科学誌『Cell Death Discovery』に掲載されました。論文は、2026年6月2日にオンライン先行公開(unedited version)され、その後、2026年8月4日14時(日本時間)に最終版がオンライン版に掲載されました。

研究詳細

この研究の詳細ページ