室温・光駆動で生み出したスピンの偏りをがん代謝MRI診断薬分子「ピルビン酸」へリレーすることに成功
~分子が数秒で組み上がる現象を利用し、次世代高感度MRIの実現へ前進~
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 寒剤を使わない次世代の高感度NMR分析や、MRI診断薬分子開発への応用が期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
Research NEWS
理工研究域物質化学系、助教
栗原 拓也KURIHARA, Takuya
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2026/9/17
概要
金沢大学理工研究域物質化学系の栗原拓也助教、徳島大学大学院社会産業理工学研究部理工学域自然科学系物理科学分野の犬飼宗弘准教授、中村浩一教授、同大学大学院創成科学研究科博士後期課程3年の佐藤晴紀大学院生(研究当時)、大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)、同大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点(PRIMe)、京都大学アイセムス(高等研究院 物質―細胞統合システム拠点:WPI-iCeMS)からなる研究チームは、寒剤を使わず室温でスピンの向きを揃えることができるトリプレットDNP(※1)に注目し、共結晶化(※2)を利用して、室温で生み出したスピンの偏りをピルビン酸へ受け渡す「偏極リレー(※3)」に成功しました。NMR(核磁気共鳴)(※4)やMRI(磁気共鳴イメージング)(※5)の感度は、核スピンの向きの揃い具合、すなわち偏極率に大きく依存します。この偏極率を高める技術として動的核偏極(DNP)(※6)が注目されていますが、従来法では極低温環境や高価な装置が必要となる場合が多く、広く利用する上で課題がありました。本研究では、室温・光駆動で動作するトリプレットDNPにより、仲介分子であるピコリンアミドにスピンの偏りを生み出しました。さらに、このピコリンアミドをピルビン酸とすばやく混合し、分子が数秒で組み上がる共結晶化を利用することで、スピンの偏りをピルビン酸へリレーすることに成功しました。本学栗原拓也助教は、共結晶の固体NMR測定の一部を担当し、本成果に貢献しました。
本成果は、トリプレットDNPを直接適用しにくい分子にも偏極を届ける新しい手法を示すものです。今後、寒剤を使わない次世代の高感度NMR分析や、MRI診断薬分子(※7)開発への応用が期待されます。
本研究成果は、2026年7月1日に英国王立化学会の学術誌『Chemical Science』オンライン版にAdvance Articleとして掲載されました。
金沢大学 研究