お辞儀による人物の魅力向上効果には文化差がある
~日本人では人種的外見にかかわらず効果,米国人では限定的~
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
掲載日:2026.09.17
発表のポイント

4種類の人種的外見をもつ3D-CG人物モデルで,お辞儀の魅力向上効果を検証。
日本人では,人物の外見や身体的魅力を問わず,お辞儀により魅力評価が上昇。
米国人では,お辞儀による魅力向上効果は限定的。
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発表概要
山形大学学術研究院(人文社会科学部)の大杉尚之教授らの研究グループは,北海道大学大学院文学研究院の河原純一郎教授と共同で,日本人および米国人を対象として,3D-CG人物モデルのお辞儀が顔の魅力評価に及ぼす影響を検証しました。これまでの研究では,日本人はお辞儀をした人物をより魅力的に評価することが示されていました。しかし,主に東アジア系の外見をもつモデルが使用されていたため,この効果が異なる人種的外見をもつ人物にも生じるかは明らかではありませんでした。
本研究では,東アジア系,ヨーロッパ系,南アジア系,アフリカ系の外見をもつ3D-CG人物モデルを使用しました。その結果,日本人評定者では,モデルの人種的外見や身体的魅力にかかわらず,お辞儀によって顔の魅力評価が上昇しました。一方,米国人評定者における効果は認められないか,日本人評定者に比べて小さいものでした。この結果は,お辞儀による魅力向上効果に,見る側の文化的背景が関係する可能性を示しています。
なお,本研究成果は,2026年8月7日(金)公開のJapanese Psychological Research誌にオンライン掲載されました。
背景
日本では,お辞儀は挨拶,感謝,敬意,謝罪などを伝える身近な身体動作です。大杉教授らの研究グループは,これまでに,お辞儀によって人物の魅力評価が上昇することや,日本人評定者に比べて米国人評定者ではその効果が生じない,または小さいことを明らかにしてきました。しかし,これまでの文化比較研究では,主に東アジア系の外見をもつモデルが使用されていました。そのため,日本人評定者に認められた効果が,「東アジア系の人物が日本文化になじみ深い動作をする」という組み合わせに限られる可能性が残されていました。
研究手法
3D-CG人物モデルが,上体を深く傾けた姿勢を1.5秒間保つ「長いお辞儀」と,その姿勢を保たずに上体を戻す「短いお辞儀」を行う動画を作成しました。クラウドソーシングサービスを通じて募集した日本人および米国人,延べ650名の参加者が,動画に登場した人物の顔の魅力を0から100までの尺度で評価しました。比較のため,モデルが直立したまま動かない「静止条件」も設定しました。モデルの人種的外見には,東アジア系,ヨーロッパ系,南アジア系,アフリカ系の4種類を使用しました。また,別の実験では,モデルの身体的魅力を「高い」「低い」の2水準に分けました。研究全体では,男女のモデルを用いた16のオンライン実験を実施しました。

研究成果
日本人評定者では,いずれの人種的外見をもつモデルでも,長いお辞儀,短いお辞儀,静止の順に顔の魅力が高く評価されました。一方,米国人評定者におけるお辞儀の効果は認められないか,日本人評定者に比べて小さいものでした。また,日本人評定者では,モデルの身体的魅力が高い場合と低い場合のいずれにおいても,お辞儀によって魅力評価が上昇しました。米国人評定者も顔の魅力の高低を明確に区別していたことから,日米差は,顔の魅力を区別できるかどうかではなく,お辞儀を魅力判断にどの程度取り入れるかの違いを反映している可能性があります。
今後への期待
本研究は,お辞儀が人物の印象に与える効果に,見る側の文化的背景が関係する可能性を示しています。この知見は,異文化コミュニケーションの理解に加え,文化的背景に配慮したアバターや対話ロボットの動作設計への応用が期待されます。
謝辞
本研究はJSPS科研費 JP20H04568,JP20H04569,JP20H01779,JP23K03014,JP25K00892の助成を受けたものです。
論文情報
論文名 Effect of Bowing on Facial Attractiveness of Other Races(異なる人種的外見をもつ人物の顔の魅力にお辞儀が及ぼす効果)著者名大杉尚之1、河原純一郎2(1山形大学学術研究院(人文社会科学部)、2北海道大学大学院文学研究院)
雑誌名 Japanese Psychological Research(心理学の専門誌)
DOIhttps://doi.org/10.1111/jpr.70051
公表日 日本時間2026年8月7日(金)(オンライン公開)
参考リンク
研究者情報-大杉 尚之 教授
人文社会科学部
山形大学 研究