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九州大学 研究Discovery Saga
2026年9月14日

世界の塩湖:見過ごされてきた生態系の保全価値

国際共同研究が、塩湖の生物多様性と生態系サービスを明らかに 応用力学研究所 アルフオンソ ベレン マリア 准教授

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
集水域全体の管理を含む5つの原則を提案
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学工学農学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
自然保護/生態系サービス/持続可能/持続可能な開発/生態系/水資源/絶滅危惧種/漁業/資源管理/生態学/生物多様性
2026.09.11 研究成果Environment & Sustainability

発表のポイント

塩湖は世界の湖水総量のおよそ半分を占めるが、その生態学的・社会的な重要性は過小評価されてきた。
20か国64名の研究者が世界85か所の塩湖を評価し、IUCNレッドリスト掲載の200種にとって塩湖がなくてはならない存在であることを確認した。
塩湖の保全には集水域全体を対象とした長期的な管理が必要であり、研究グループは5つの原則を提案した。

発表概要

 塩湖は世界の湖水総量のおよそ半分を占めています。しかし、その生態学的・社会的な重要性は広く過小評価されてきました。
 九州大学応用力学研究所のマリア・ベレン・アルフォンソ准教授を含む国際研究グループは、世界85か所の塩湖が高い保全価値をもつことを明らかにしました。
 本研究には20か国から64名の研究者が参加しました。科学的知見と各地域の知識を組み合わせ、絶滅のおそれのある種、生態系サービス(※1)、および塩湖の管理上の課題を評価しました。その結果、IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト(※2)に絶滅危惧種または準絶滅危惧種として掲載されている200種にとって塩湖はなくてはならない存在であり、そのうち53%を鳥類が占めることが分かりました。
 研究グループは、集水域(※3)全体の管理を含む5つの原則を提案しています。今後、水資源管理や国際的な保全政策への活用が期待されます。
 本研究成果は国際学術誌「Nature Communications」に2026年9月3日(木)(現地時間)に掲載されました。
参考図



アルゼンチンのエペクエン湖(Laguna Epecuén)に集まる、チリーフラミンゴ(Phoenicopterus chilensis)の大群。 ここは南米において同種のコロニーとして2番目に大きな規模を擁する、重要な高塩分環境です。
研究者からひとこと
塩湖は価値の乏しい環境と見なされがちですが、塩分濃度が高くなっても生態系サービスの数は減らず、その内容が変わっていきます。乾燥地において、塩湖に代わるものはありません。だからこそ、湖岸だけでなく集水域全体を見る必要があります。(マリア・ベレン・アルフォンソ)

用語解説

(※1) 生態系サービス
自然環境が人間社会にもたらす恩恵。塩湖の場合、漁業・製塩・レクリエーションと観光・水の利用などが含まれる。
(※2) IUCNレッドリスト
国際自然保護連合(IUCN)が作成する、絶滅のおそれのある野生生物の一覧。
(※3) 集水域
降った水が河川や地下水となり、特定の湖や川に流れ込む範囲。

論文情報

掲載誌:Nature Communications
タイトル:The overlooked conservation values of saline lakes
著者名: Alfred Burian, Ramesh Wilson, Pavel Kratina, Örs Ábrám, Ekaterina Afonina, Javier Alcocer, María Belén Alfonso, …Egor Zadereev 他著
DOI:10.1038/s41467-026-76684-0
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