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宇都宮大学 研究Discovery Saga
2026年9月14日

ヒトが進化で失った遺伝子がイモリの肢再生を制御していた

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
nsCCNの働きを詳細に解明することで、将来の再生医療への手がかりが得られることが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学総合生物農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
両生類/爬虫類/血流/哺乳類/血栓/細胞外環境/動態解析/血液/血小板/再生医療/免疫細胞/遺伝子/抗体
研究

概要

本学工学部の外山史教授、筑波大学生命環境系の千葉親文教授らの研究チームは、これまでイモリ特有の CCN ファミリー遺伝子と考えられてきた nsCCN が、実は哺乳類などには存在しない CCN-like(CCN 様)ファミリーという新しい遺伝子群に属すること、その遺伝子が成体イモリの栓球(ヒトの血小板に相当)に発現し、肢再生の初期過程で働いていることを見いだしました。

 イモリはヒトと同じ四肢動物でありながら、成体になっても体のさまざまな部分を何度でも再生できます。その中で注目されてきたのが、細胞の外に分泌されて体のさまざまな活動を調節するタンパク質のグループである「CCN ファミリー」の一種 nsCCN(newt-specific Cellular Communication Network)です。
 本研究チームは今回、イモリ特有の再生因子と考えられてきた nsCCN が、CCN ファミリーの未知の姉妹グループ「CCN-like(CCN 様)ファミリー」に属することを明らかにしました。これらをコードする遺伝子群は肉鰭(にくき)類(四肢動物やシーラカンス、ハイギョなどの仲間の総称)の共通祖先で出現し、両生類には残る一方、ヒトを含む有羊膜(ゆうようまく)類(哺乳類や爬虫類など)では進化の過程で消失していたことが分かりました。成体イモリの肢の再生における役割を調べたところ、nsCCN は主に血液中の栓球(ヒトの血小板に相当)並びに再生芽(切断端に形成される組織)に集まる免疫細胞で作られていました。栓球は肢の切断に伴い活性化し、血液凝固時に nsCCN を分泌しますが、抗体でその働きを阻害すると再生芽の成長が遅れました。また、血液の動態解析から、切断面が傷表皮で覆われた後、nsCCN がその隙間(組織間隙)への血液の流入と循環を促すことが判明しました。つまり、この血流により、再生を担う細胞が集まる環境が整うと考えられます。
 本研究により、nsCCN が局所の血栓溶解や組織間隙の血流循環を介して細胞外環境を制御し、適切な再生芽形成を保証する仕組みが明らかになりました。
 当研究グループは、イモリの再生原理をヒトの医療に応用する研究に取り組んでいます。今回の成果は、再生初期に働く重要な遺伝子がヒトにないことを示す画期的な発見であり、今後はnsCCN の働きを詳細に解明することで、将来の再生医療への手がかりが得られることが期待されます。

 本研究は、科学雑誌『Scientific Reports』(9月3日付)に掲載されました。




プレスリリース全文は、以下のリンクからご覧ください。
プレスリリース

問い合わせ先

宇都宮大学 広報・渉外係
TEL:028-649-5201
E-mail: kkouhou※a.utsunomiya-u.ac.jp
(※を半角@に変更してください。)

関連リンク

研究者総覧 外山 史 教授
工学部基盤工学科