配位駆動型の原子レベル合金化技術を開発!
~異種金属の精密配置により、金ナノクラスターの発光効率が最大約150倍に向上~(地球環境科学研究院准教授 七分勇勝)
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 金属ナノクラスターの新たな設計指針として、発光材料や触媒材料など幅広い分野への応用に期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
2026年9月10日
発表のポイント
●金ナノクラスターの狙った位置に銅または銀の二量体を導入できる新しい合金化手法を開発。●銅二量体の導入により、金ナノクラスターの近赤外発光効率が約150倍に向上。
●金属ナノクラスターの新たな設計指針として、発光材料や触媒材料など幅広い分野への応用に期待。
発表概要
北海道大学大学院地球環境科学研究院の七分勇勝准教授及び小西克明教授らの研究グループは、金ナノクラスター上の狙った位置に銅または銀の二量体(原子ペア)を導入できる「配位駆動型合金化」技術を開発しました。数個から数十個の金原子で構成される超微小な金ナノクラスターは、特異な光学特性や触媒特性を示すことから次世代機能材料として注目されています。近年は、銅や銀などの異種金属を組み込んだ合金ナノクラスターの研究が盛んに進められていますが、従来法では複数の金属原料を同時に反応させるため、異種金属の配置がランダムになりやすく、原子レベルで精密に制御することが困難でした。
研究グループは、ピリジン環で架橋されたジホスフィン配位子が金ナノクラスター表面に形成する配位ポケットに着目しました。この配位子で保護された金ナノクラスターに銅または銀イオンを後から添加したところ、異種金属が取り込まれた合金クラスターを得ることに成功しました。単結晶X線構造解析の結果、導入された異種金属は、クラスター内部に組み込まれるのでなく、クラスター表面の配位ポケットに選択的に捕捉・固定化(表面アンカリング)されていることが明らかになりました。さらに理論計算から、異種金属は周辺の金属原子との電子的相互作用が極めて限定的である特徴的な電子状態を有していることも明らかになりました。また、異種金属を導入することで、近赤外発光の効率が最大約150倍まで向上することを発見しました。本成果は、配位子設計によって異種金属の個数や配置を原子レベルで精密に制御する新しい「事後的合金化」の概念を実証したものであり、機能性金属ナノクラスターの合理的設計に新たな道を拓くものです。
なお、本研究成果は、2026年8月5日(水)公開のChemical Science誌にオンライン掲載されました。
論文名:N-Coordination-Driven Anchoring of M2 Dimers (M = Cu, Ag) on Au6 Cluster: Structural Evolution and Enhanced Photoluminescence(窒素配位を利用したAu6クラスター上への銅・銀二量体の固定化:構造変化と発光増強)
URL:https://doi.org/10.1039/d6sc04505g
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「配位駆動型」で実現する精密な合金ナノクラスターの構築
北海道大学 研究