
タンパク質の動く構造を読み解く
―中性子散乱と計算科学の統合解析―
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | MDPの動的構造解析を支える新たな基盤技術として、多様なタンパク質への応用が期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
研究者情報
研究者名奥田 綾
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名
井上 倫太郎
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名
黒川 南
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名
裏出 令子
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名
杉山 正明
京都大学 教育研究活動データベース
概要
京都大学複合原子力科学研究所 奥田綾 准教授、井上倫太郎 同教授、黒川南 同助教、裏出令子 同研究員(非常勤)(同特任教授)、杉山正明 同教授らと大阪大学大学院薬学研究科、Institut Laue-Langevin(フランス)、Oak Ridge National Laboratory(米国)の国際共同研究グループは、複数の構造単位(ドメイン)からなるマルチドメインタンパク質(MDP)の動的構造を解析する新しい手法を開発しました。MDPはドメイン同士の相対的な位置関係を変えることで機能するため、その動的構造を理解することが機能解明に重要です。本研究では、区分重水素化試料と逆転コントラストマッチング中性子小角散乱(iCM-SANS)法を組み合わせ、タンパク質中の特定ドメインの配置を反映する情報を取得しました。さらにこの情報をX線小角散乱(SAXS)データおよび分子動力学(MD)シミュレーションと統合することで、複数のMDシミュレーション由来の構造アンサンブルを適切に識別できることを実証しました。本手法は、MDPの動的構造解析を支える新たな基盤技術として、多様なタンパク質への応用が期待されます。本研究成果は、2026年7月29日に国際学術誌「Journal of Applied Crystallography」にオンライン掲載されました。

研究者のコメント
「我々はこれまで解析が難しかったMDPの動的構造解析を可能にするため、試料調製技術と高精度のデータが得られるサイズ排除クロマトグラフィーを連結したSANS、SAXS、計算科学を組み合わせた解析手法の構築に挑みました。特に、区分重水素化試料の作製は大きな挑戦でしたが、その技術を基盤として、タンパク質の動的構造を解析する新たな道筋を示すことができました。今後、本手法をさまざまなタンパク質へ展開し、生命機能の理解につながる研究へ発展させたいと考えています。」(奥田綾)
京都大学 研究