\逆走の根源的な抑制に向けて!/ 高速道路での逆走発生過程を連続的に可視化!
自動車保険加入者の車両走行データ利用で実現
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 任意の時間・空間範囲での発生過程を把握できることで、逆走を根源的に抑制する対策の検討が可能となった。他の事故多発地点の対策検討への応用にも期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
2026-7-27●工学系工学研究科准教授飯田 克弘発表のポイント
テレマティクスデータである自動車保険加入者の車両走行データを利用することで、高速道路での逆走発生過程を連続的に再現・可視化することに成功。逆走は希少な事象であり、カメラ等で高速道路全域をカバーして実際の発生過程を連続的に捉えることが困難であることから、ほとんどの発生過程が推測に留まっていた。
今回、任意の時間・空間範囲での発生過程を把握できることで、逆走を根源的に抑制する対策の検討が可能となった。他の事故多発地点の対策検討への応用にも期待。
発表概要
大阪大学大学院工学研究科の飯田克弘准教授の研究グループはテレマティクスデータである自動車保険加入者の車両走行データを利用することで、高速道路の任意の時間・空間範囲で逆走発生過程を連続的に再現・可視化することに初めて成功しました。逆走対策の立案には、その発生過程を連続的に捉えることが必要です。近年では、CCTVや遠赤外線カメラ等を活用した事故の自動検出が試みられていますが、高速道路全域をカバーする状況ではありません。
本手法により発生過程を把握することで、逆走を根源的に抑制する対策の検討が可能になります。現在までに、一般的なインターチェンジ(IC)形状であるトランペット型での逆走発生過程(図1、図2)をはじめ、全てのIC形状で解析を行なっています。この中には、東北自動車道黒磯板室ICでの逆走死亡事故で注目されている平面Y型ICも含まれます。また、本手法は、逆走以外の事故多発地点の対策検討への応用も期待されます。
本研究成果は、第46回交通工学研究発表会(2026年8月4日(火)~6日(木))にて発表されました。

図1. トランペット型ICの例(川内IC)
(国土地理院 地理院地図(航空写真)より作成)

図2. 川内ICでの逆走事例
研究の背景
逆走対策の立案には、その発生過程を連続的に捉えることが必要です。しかし、逆走は希少な事象のため、通常行われている巡視では捕捉が困難です。近年では、CCTVや遠赤外線カメラ等を活用した事故の自動検出が試みられていますが、高速道路全域をカバーする状況ではありません。これまで、現地の踏査、現地担当職員へのヒアリング、大規模な道路利用者へのアンケートなどにより、逆走発生過程の推定を試みましたが、推定結果を実証可能な客観的データの獲得が課題となっていました。
研究の内容
研究グループは、テレマティクスデータを利用することで、任意の時間・空間範囲で逆走発生過程を連続的に再現・可視化することに成功しました。今回、研究対象となるICを含むデータ取得範囲を設定し(図3)、2022年6月から概ね2年間、この範囲を通行した車両のデータを、共同研究のパートナーであるあいおいニッセイ同和損害保険株式会社から提供いただきました。提供された走行データは、各車両の各トリップを1つのIDとして、ID毎に緯度や経度、速度等の走行履歴が一定間隔で時系列順に記録されている走行履歴データです。まず、対象ICを通行する車両を抽出し、これを解析して車両走行軌跡を獲得します。この結果を国土地理院地理院地図と重畳することで、高速道路上で発生している現象を再現します。さらに、行き先間違いや逆走を示すフィルタリングを行うことで、逆走発生過程を可視化することが可能になりました。

図3. データ取得の範囲(川内IC)
(国土地理院 地理院地図より作成)
本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
発生過程を把握することで、逆走を根源的に抑制する対策の検討が可能になります。また、逆走以外にも、交通事故リスクの高い車両挙動が把握できており、このことは、道路交通の安全を確保する上で、極めて貴重な成果だと考えられます。以上のことから、このアプローチにより、逆走だけでなく他の事故多発地点の対策検討への応用も期待されます。
特記事項
本研究成果は、第46回交通工学研究発表会(2026年8月4日(火)~6日(木))にて発表されました。タイトル:“逆走を含む高リスク車両挙動の抽出手法の精緻化”
著者名:飯田克弘, 山本敬太, 阪本浩章
タイトル:“ICランプ分岐部での行き先間違いに起因する転回行動と逆走との関係性把握”
著者名:飯田克弘, 福田翔吾, 阪本浩章
タイトル:“高速道路の平面Y型ICにおける誤進路選択行動の発生実態と要因分析”
著者名:飯田克弘, 小川恵輔, 阪本浩章
なお、本研究は、本学とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社との共同研究(共同研究番号2024共1406)の一環として行われました。
参考URL
飯田克弘 准教授 研究者総覧https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/10ed0e4305cb8a4e.html
飯田克弘 准教授 research map
https://researchmap.jp/read0012670
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 「Telematics Town」
https://telematics-town.aioinissaydowa.co.jp/
SDGsの目標

大阪大学 研究