炭素カチオンによるポリエン環化反応に成功
~電気化学とフロー化学の融合により天然物生合成機構解明と創薬プロセス開発に貢献~(理学研究院教授 永木愛一郎、特任講師 芦刈洋祐)
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 天然物生合成機構の理解の深化による、複雑な医薬品候補化合物の合成法への進展に期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
電解酸化/反応場/電気化学反応/マイクロリアクター/生体模倣/マイクロ/電気化学/生体内/イソプレノイド/テルペン/生合成/プロトン/エポキシド/オレフィン/カチオン/環化反応/生体分子/生理活性/生理活性物質/創薬
2026年7月16日
発表のポイント
●電気化学とフロー化学の融合により、炭素カチオンを起点とした生体模倣型反応に成功。●生体で提唱されている新しいテルペン生合成機構を支持する知見を獲得。
●天然物生合成機構の理解の深化による、複雑な医薬品候補化合物の合成法への進展に期待。
発表概要
北海道大学大学院理学研究院の永木愛一郎教授及び芦刈洋祐特任講師、パヴィア大学のジュゼッペ・ザノーニ教授、同大学大学院博士課程(研究当時)のアントラッシュ・オシュトレク氏らの研究グループは、電気化学反応とフローマイクロ合成反応を活用し、炭素カチオンを起点としたポリエン環化反応の開発に成功しました。生体分子であるイソプレノイドの多くは、二重結合へのプロトン付加や末端エポキシド部位の開環をトリガーとしたポリエン環化反応により生合成されます。一方で、saponaceolideなど一部の生体分子は、炭素カチオンの付加がトリガーとなる特殊な環化反応によって生合成されると考えられており、その実験的な再現による生合成機構の検証や、この反応を模倣した新規生理活性物質の合成が期待されています。しかし既存手法では強力な酸や大量の試薬を必要とするため、生体内とはかけ離れた条件で検証されるのみでした。
研究グループは、温和な条件で炭素カチオンを発生可能な電解酸化と、微細流路を反応場とするフローマイクロリアクターを活用し、電気化学的に発生させた炭素カチオンをトリガーとしたポリエン環化反応を達成しました。この方法では、従来は不安定で発生しても即座に分解してしまう炭素カチオンをフローマイクロリアクター中で発生させることにより、その分解前にポリエンとの反応に利用することを可能にしています。
なお、本研究成果は、2026年7月7日(火)公開のChemical Science誌にオンライン掲載されました。
論文名:Polyolefin Cyclization Triggered by Electrochemically Generated Alkoxycarbenium Ions: Batch and Flow Conditions(バッチ及びフロー反応条件における電気化学的に発生させたアルコキシカルベニウムイオンによるポリオレフィン環化反応)
URL:https://doi.org/10.1039/d6sc03609k
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電気化学とフロー化学を融合し、炭素カチオンによるポリエン環化反応を達成
北海道大学 研究