ポストコロニアリズムから見たアジアの都市表象
【研究分野】文学一般(含文学論・比較文学)・西洋古典
【研究キーワード】
ポストコロニアリズム / 植民地主義 / アジア / 都市 / 表象 / 異文化 / 日本文学 / 朝鮮 / 満州 / 植民地 / 東京 / ポストコロニアル / 上海 / 韓国
【研究成果の概要】
本研究は、平成8年度から10年度前半における基礎調査とその発表・討議を経て、10年度末に報告書に相当する論文集の形で結実した。
調査と発表・討議においては、安部公房・花田清輝の満州・朝鮮体験、朝鮮人日本語作家、雑誌『太陽』の風景挿図写真ほか、多数の検討がなされた。また平成9年3月4日には、本プロジェクト主催のシンポジウム「翻訳と植民地」を開催し、宮本陽一郎司会で、李征「アジア・植民地・言語ー外国人宣教師が翻訳した『亨利実録』を中心にー」、斉藤愛「〈他者〉の内面化のプロセスー明治の翻訳ー」、齋藤一「日本の『闇の奥』ー西欧植民地主義批判の間題ー」の3発表と、その後の共同討議を行った。
平成10年度後半期からは、各自論文の執筆に入り、3月に文部省科学研究費補助金研究成果報告書『ポストコロニアリズムから見たアジアの都市表象』としてまとめられた。同報告書には、研究分担者に加え、研究協力者として阿部軍治(筑波大学現代語・現代文化学系)ほか11名が寄稿している。内容は、前述したシンポジウムに関連する論文をはじめ、メディアの流通させた外国(人)の表象を批判的検討、個別作家におけるナショナリズム・外国体験の分析、現代日本文化と文化植民地主義の問題など、多岐にわたる論文集となった。結果として、19c中葉から現代に至るまでの広い時期をカバーする多様な植民地主義と文化の相関関係の様相を、「アジアの表象」を主軸しながら描き出すことに成功したといえるだろう。なお、同報告書は筑波大学文化批評研究会編『植民地主義とアジアの表象』として各大学図書館、関連研究者に配布した。
【研究代表者】