高解像度DEMを用いた後氷期開析前線の自動抽出と地形発達史研究への応用
【研究分野】自然地理学
【研究キーワード】
後氷期開析前線 / DEM / GIS / 地形計測 / 地形断面 / 水系 / 斜面 / 日本 / 地形 / 写真測量 / 流域 / 後氷期 / 解像度 / 傾斜 / 水系網 / 地理情報システム
【研究成果の概要】
後氷期開析前線は,最終氷期から後氷期への移行の際に日本で生じた雨量強度の顕著な増大にともなって,斜面の上に形成された溝状の地形の末端であり,後氷期を通じて徐々に後退している.このため,後氷期開析前線は,山地斜面の分類,斜面からの土砂供給の推定,および近未来の崩壊発生位置の推定などに際して重要な指標となる.ただし,後氷期開析前線の認定は主に空中写真の判読によって行われてきたため,判読結果に個人差が入ることは否めない.
そこで本研究では,近年急速に普及してきた高解像度のDEM(デジタル標高モデル)を用いて,後氷期開析前線の位置を認定するための試みを行った.開析前線を認定するためには,水系の正確な抽出とその特性の把握,主要な流路に沿った地形断面の抽出と急勾配区間の抽出,流域の横断面形の分析などが必要である.このような基礎的検討なしには最終的な目的を達し得ないことを重視し,本研究では方法の開発を含む基礎研究に多くの時間と労力を割いた.また,開発された手法を日本の3ヶ所の裸地(有珠山,草津白根山,南アルプス赤崩)および3ヶ所の丘陵〜山地(多摩地域,浜田地域,塩尻地域)に適用した.さらに,DEMを用いた地形解析手法を応用する際には,後氷期開析前線に直接結びつく内容とともに,関連は間接的であるが地形学的に重要な課題も取り上げた.さらに,研究の初期段階には既存の関連研究をレビューした.
DEMを用いた地形解析は,傾斜や曲率の算出といった基礎的な内容については手法が確立されているが,本研究で取り上げたような課題に対する検討はまだ非常に少ない.本研究を通じて汎用性の高い手法の確立に向けた多様な検討を,基礎段階から詳しく行った意義は大きいと考えられる.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鈴木 康弘 | 愛知県立大学 | 情報科学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
杉盛 啓明 | 東京大学 | 空間情報科学研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】2,500千円 (直接経費: 2,500千円)