新興工業国の国土・都市構造の変革と産業立地の関係に関する研究
【研究分野】交通工学・国土計画
【研究キーワード】
国土計画 / 産業立地 / 地域開発 / マレーシア / タイ / グローバリゼーション / 規制緩和 / 都市化 / 国土構造 / グローバル化 / 都市構造
【研究成果の概要】
当該研究においては、まず基礎的なデータとして対象国であるタイ・マレーシア両国の企業立地および開発動向のデータ収集につとめ、基本的な分析を詳細に至るまで検討した。次にそのデータを踏まえて、両国の経済成長をささえた製造業、及び近年の発展が著しい情報通信産業の企業立地の簡略的なモデルを提示し、同時に産業立地政策及び国土政策をレビューしてバランスの取れた国土構造形成の達成度に関する政策評価を行った。その成果は別紙(様式8裏面)の通りであり、国別に日本語、英語で各学会、論文誌に掲載された。
研究の具体的な成果として、以下のようなものが挙げられる。
1.企業立地については、両国において歴史的文化的差異から基本的な性質に違いが見られるものの、グローバル化の影響が進行している近年の傾向としては、共に国内で最も大きな都市でもある首都の近郊に立地が促進される傾向がある。
2.バランスの取れた国土構造を形成する主体である政府政策に関しては、国土計画において文言的に産業立地の地方分散を唱えているものの、実際の開発事業においては、タイの東部臨海開発計画、マレーシアのMSC(マルチメディアスーパーコリドー)に見られるように、首都を中心とした大都市圏(概ね車で2時間以内の距離)で行われる傾向があり、その他の各開発(工業団地、空港・港湾等基礎的インフラ)も、大部分がそれらの地域で行われており、結果としてバランスの取れた国土構造を目指す政策にはなっていない。
3.近年は、情報通信産業等の発展によって産業立地の集中化が加速されるとともに、グローバル化による各国間の立地競争とそれに伴う規制緩和の波により、バランスの取れた国土構造形成を目指す政策が益々取りにくい状況になっている。産業の過集積と過剰都市化を防止するためには、一国ではなく多国間での協調を前提とした国土政策・産業立地政策の立案が不可欠と考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】1,500千円 (直接経費: 1,500千円)