地球温暖化による過剰死亡推定―多国間共同環境疫学研究
【研究キーワード】
地球温暖化 / 環境疫学 / グローバルヘルス / 適応 / 大気汚染 / 温暖化 / 気候変動 / 過剰死亡 / 下痢症 / 時系列解析
【研究成果の概要】
温暖化に対して有効な対策を取らなかった場合、2030年代には熱関連過剰死亡が世界で3万7千人余り、下痢症による過剰死亡が4万8千人余り発生すると予測されている (WHO, 2014)。本研究は、温暖化による将来の過剰死亡数をより現実的に推定するための疫学的予測モデルの開発をおこない、今世紀末までの温暖化による過剰死亡数を推定することを目的としている。
1.腸管感染症の超過死亡:将来の気候変動による腸管感染症の過剰死亡をグローバルレベルで推定した。地球全体で分野横断型の影響評価を行う国際プロジェクトISIMIPに参加し、世界疾病負荷 (GBD)データから10種類の病原体別腸管感染症(非チフス性サルモネラ、赤痢、カンピロバクター、コレラ、腸管病原性大腸菌、腸管毒素性大腸菌、チフス、ロタウイルス、ノロウイルス、クリプトスポリジウム症)による死亡数データを将来の社会人口動態と医療投資シナリオ(悲観、中間、楽観)の下でベースラインを予測した。次に、予測される年間気温アノマリーと各病原体の温度感受性を用いて、地球温暖化に起因するベースラインからの死亡率の変化を推定した。
2.ヒートアイランドによる超過死亡:都市化の進展に伴いヒートアイランド現象が顕著になり、熱中症の増加や、感染症媒介蚊の越冬といった生態系の変化が懸念されるが、温暖化による健康影響の将来予測において、これまで都市化の影響は考慮されていなかった。本研究では、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)においてヒートアイランドによる超過死亡の推定および温暖化に伴うその将来予測を行うこととした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
金 允姫 | 東京大学 | 大学院医学系研究科(医学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
小野塚 大介 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター | 研究所 | 室長 | (Kakenデータベース) |
ウン クリス・フック・シェン | 長崎大学 | 熱帯医学・グローバルヘルス研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)