興奮/抑制バランスを制御した培養神経回路によるてんかん発作発生機構の解明
【研究キーワード】
脳神経 / 細胞・組織 / 神経工学 / 微小電極アレイ / 脳・神経 / 脳神経疾患 / シグナル伝達 / ナノバイオ
【研究成果の概要】
てんかん発作の発生における“final common path”と考えられている興奮性/抑制性(Excitatory/Inhibitory; EI)の不均衡に焦点を当て,iPS細胞を神経系に分化誘導する際の操作により興奮性/抑制性細胞の比率を制御した培養神経回路を調整,電極アレイ基板を利用して自発活動を観測した.同期バースト活動の特性がEI比率によって異なり,培養日数の経過と共にその差異が小さくなる方向に変化する,GABAA受容体に対するantagonistであるbicuculline投与による抑制性シナプス結合阻害の効果が時間経過と共に減弱する等,恒常的可塑性の関与を示唆する結果が得られた.
【研究の社会的意義】
EIバランスと神経回路活動の関係は,興奮性/抑制性シナプス結合の数とその強度によって制御されるが,電気刺激等人工的な手法で誘起されるシナプス活動と本来の感覚入力に対して活性化されるシナプスは異なる,興奮性シナプス,抑制性シナプス,そのサブタイプそれぞれにおいて可塑性のメカニズムが異なるなど関係する要素は多岐にわたる.本研究では恒常性を維持する可塑性の関与を示唆する結果が得られた.今後は,シナプス-ニューロン-神経回路という階層構造各段階における制御機構,その背景となる可塑性の作用を統合した研究の遂行により,てんかん発作を生じるメカニズム解明に向けた知見が得られることが期待できる.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
榛葉 健太 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)