植物ミトコンドリアの形質転換システムの開発
【研究分野】育種学
【研究キーワード】
イネ / ミトコンドリアゲノム / 形質転換 / プラスミド様DNA / アンチマイシン / エディティング
【研究成果の概要】
ミトコンドリアは生物エネルギーの変換を行う重要な器官で、これの効率化はすべての作物に重要である。ミトコンドリアの機能は遺伝的には核とミトコンドリアゲノムの二元的支配を受けている。このうち、母性遺伝を行い交雑で改良できないミトコンドリアゲノムは遺伝子導入法がなく、その開発が待たれている。
本研究はミトコンドリアのプラスミド様DNAがミトコンドリア内で安定的に増殖することに着目し、これを改変して形質転換のためのプラスミドを構築した。選択マーカーにはアンチマイシン耐性に変異させたcob遺伝子を用いることにし、同遺伝子のエディティングを調べた。プラスミドの構築には、pBSKS+プラスミドを土台にミトコンドリアで発現するatplのプロモータにアンチマイシン抵抗性になるように43番のGlyをValにまたは234番のLysをIleに人工的に改変したcob遺伝子を付け、さらにatp6の3'非翻訳領域をつないだ。最終的にはミトコンドリア内で安定的に増殖させるために、さらにプラスミド様DNA(B4)を挿入して形質転換用プラスミドとした。
一方Particle gunによる形質転換系を確立するため、CaMVの35SプロモータにGUSをつないだ形質転換用プラスミドを構築し、Particle gunを用いてイネ培養細胞に導入し、一過性のGUS活性が発現されるのを確認した。これによりParticle gunによる一般的な形質転換系は確立した。ついで上記ミトコンドリア形質転換用プラスミドをParticle gunを用いてイネカルスに導入することを試みたが、現在のところ成功していない。
このためプラスミド様DNAの複製に関する解析、atpl遺伝子をはじめとする遺伝子発現の解析などを行い、その結果による形質転換用プラスミドを構築し、再度試みる予定である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
吉羽 洋周 | 日立製作所 | 基礎研究所 | 主任研究員 |
堤 伸浩 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
長戸 康郎 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
YOSHIDA Yosho | Hitachi Co. Ltd., Inst. Basic Research Principal Invest. |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1994 - 1996
【配分額】14,600千円 (直接経費: 14,600千円)