内在性遺伝子発現制御に関わるRNAi関連分子の機能解析
【研究分野】分子生物学
【研究キーワード】
RNAi / Argonaute / small RNA / RNA silencing / rasiRNA / 生殖細胞 / ショウジョウバエ / FMR1 / Slicer / 精神遅滞 / RNA / 翻訳抑制 / P-body / microRNAs / 脆弱X症候群 / 遺伝性精神遅滞 / 機能性RNA / 翻訳制御 / miRNA / Dicer
【研究成果の概要】
申請者は、精神遅滞を最も高頻度に伴う遺伝性ヒト疾患である脆弱X症候群原因遺伝子FMR1の機能解析を続けてきた。その過程において、FMR1遺伝子が翻訳調節に関与するRNA結合蛋白質をコードすること、さらには、ショウジョウバエFMR1相同蛋白質がRNAi活性中心であるRISC複合体の構成因子Argonauteと結合する事を明らかにした。FMR1遺伝子の機能を探索する上で、RNAi経路に関する新知見を得ることは必須であると考え、RNAi機構分子メカニズムの解析を進めた。基盤(A)によってサポートされた3年間における成果は以下の通りである。ショウジョウバエで恒常的に発現するArgonaute蛋白質(AGO1とAGO2)がそれぞれsiRNA、miRNAと結合する事によって遺伝子発現抑制機構において標的RNA切断nuclease(Slicer)として働くことを分子レベルで明らかにした。ショウジョウバエ抽出液を用いて行うRNAiにはATPは不必要である事を明らかにした。AGO2がsiRNA duplexのunwinding因子であることを明らかにした(以上、Miyoshi et al. Genes & Dev 2005)。生殖細胞特異的に発現するArgonauteの機能に関して研究をすすめ、Piwi、Aub、AGO3がrasiRNAと結合する事によってレトロトランスポゾンの遺伝子発現を抑えること、つまり「ゲノムの品質管理機構」に機能的に寄与することを明らかにした。これらArgonauteの機能が生殖細胞の維持・形成に必須であることが示唆された(Saito et al. Genes & Dev 2006;Gunawardane et al. Science 2007)。ショウジョウバエrasiRNA生合成経路に関するモデルを提唱した(Gunawardane et al. Science 2007)。(成果抜粋)
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】45,890千円 (直接経費: 35,300千円、間接経費: 10,590千円)