生きた植物における情報伝達機構に関する基礎研究
【研究分野】植物栄養学・土壌学
【研究キーワード】
水分動態 / 中性子線解析 / 植物体 / 中性子ラジオグラフィ / 非破壊計測 / 植物
【研究成果の概要】
(1)CT像の構築:昨年度まで、中性子ラジオグラフィを用いて2次元の水分像を得、植物中の情報伝達を水分の動態から考察してきた。しかし、より詳細に水分動態を求めるためには3次元化された像をもとに検討することが重要である。そこで、昨年度末から生きた植物中の水のCT像を撮る装置を組み立ててきた。CT像を得るため、試料を1度づつ回転させながら、180枚の像をCCDカメラに取り込み、180枚の像から同じ位置の1ピクセル線を取り出し、コンピュータにより断面像を構築させるシステムを作成した。本装置を用いて、カ-ネーションの花および根のCT像を得ることができた。特にカ-ネーションでは、構築された断面像を50ミクロンごとに約400枚作成し、これらを全て重ね合わせることにより花の下方約cmの立体的な水分像を得るに至った(本年2月25日の朝日新聞科学欄に他の像と共に掲載された)。
(2)水分動態解析:土壌中にバナジウムおよびアルミニウムを吸水性ポリマーに吸収させてから添加し、根の育成のみならず根の活動を水分動態から解析した。その結果、バナジウムを添加した場合には、根の生育が形態からは正常と判断されても、根から0.2mm以内の土壌中の水分の動態を調べると、非常に早い時期に根の活動が停止していることが示された。根の極近傍の水分動態は今まで測定されてこなかったため、本研究で初めて、水分動態からの根の活動を解析することができた。また、土壌中の水分動態の測定結果を用いて、根および地上部の活動度ならびに生育のシミュレーションも行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
加藤 誠 | 浜松ホトニクス(株) | 研究員 |
松林 政仁 | 日本原子力研究所 | 東海研究所 | 研究員 |
松本 聡 (松本 聰) | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1995 - 1997
【配分額】17,000千円 (直接経費: 17,000千円)