温暖化環境での落葉広葉樹の光合成特性と食害抵抗性に関する予測研究
【研究分野】林学
【研究キーワード】
温暖化 / 被食防衛 / C / N / フェノール / 総合タンニン / 植食者 / 防衛機構 / マイマイガ / 高CO_2 / 光合成
【研究成果の概要】
進行する温暖化環境では食葉性昆虫の活動期間が延長され、食害が増えるのであろうか?一般に、高CO_2環境で生育した葉のC/Nは大きくなる。このためタンパク源としての葉の質が低下し食害が増える可能性がある。高CO_2環境では一時的に光合成速度は上昇し、C/Nの大きな葉が生産される。そこで、増加したC/NのうちCの増加を防御物質の変化と考えて、総フェノールと消化不良物質として知られる縮合タンニンの定量を行った。すると遷移後期樹種であるミズナラと日本列島の冷温帯を広く覆うブナでは、高CO_2では総フェノールのみ増加し、縮合タンニン量は変化しなかった。これに対して、シラカンバとカラマツでは、総フェノール量と縮合タンニン量の両方が増加した。とりわけ高肥料条件でのシラカンバの増加量が大きかった。従来、マイマイガの幼虫を利用した生物検定が用いられ、ミズナラの葉を混入した資料での成長が悪いことが判明した。しかし、この虫は普段、ミズナラも食害するので、なんらかの防御物質を持っている可能性がある。相対的な樹種比較を行なうためには、広食性で実験材料を食害しない生物検定の材料を多量に必要とする。現在、この生物検定の材料を選定中である。
【研究代表者】