微細加工技術を応用した人工神経・人工シナプスの開発研究
【研究分野】医用生体工学・生体材料学
【研究キーワード】
人工シナプス / 脊髄根糸電位 / 再生型神経電極 / 人工シプナス / 微小電極
【研究成果の概要】
本研究の目的は、生体の脊髄クモ膜下腔において、脊髄根糸に長期間留置可能な微小電極(人工シナプス)を開発することにある。さらに、この人工シナプスを装着する際に不可欠な脊髄根糸の選択的操作手技も併せて開発することを目的としている。また、神経根糸と末梢神経における対応を調べるため、末梢における再生型神経電極の開発を行うことも本研究の目的である。
1.人工シナプスのプロトタイプ開発
電極信号の差動増幅回路を集積した微細双極電極の開発を行った。この微細電極は、大規模集積システム設計教育研究センターにて差動増幅回路と電極部分を含むカスタムLSIを制作し、当方の施設において異方性エッチングによる貫通電極の作成と窒化膜による全体の絶縁を加えることで製作される。カスタムLSIの設計と追加工のプロセス確立が現在進行している。
2.脊髄神経根糸の神経支配領域の同定法開発
パーソナルコンピューターに高速の多チャンネルA/Dコンバータを実装し、多チャンネル同時加算平均が可能なデーター処理装置を作製した。さらに、この装置を駆動するための計測ソフトウェアを開発した。多チャンネル硬膜外カテーテル電極とこのデーター処理装置を用いて、麻酔下の実験動物(ヤギ)で皮膚刺激に対する支配神経根の同定を行った。皮膚刺激の位置を胸壁上で移動させると、個々のチャンネルに導出される波形の極性が変化し、この結果から皮膚の特定領域を支配し当ている神経の脊髄での神経根の同定が可能であることがわかった。さらに、同定された神経根の個々の根糸に電極を接続し、この神経根の皮膚支配領域の中で刺激位置を変化させると、個々の神経根糸の間で位置によるインバルス強度変化が観察された。この結果から、皮膚においては、神経根糸レベルで支配領域が同定できることが示唆された。
3.再生型神経電極の試作
ポリイミドベースの再生型神経電極を作製し、ラット坐骨神経にて検証を行った。
【研究代表者】