ポリマーがいしの遠隔劣化計測技術の開発
【研究キーワード】
レーザー / プラズマ / 分光 / ポリマー / がいし / 劣化診断 / 遠隔計測 / 電力設備 / レーザー誘起ブレークダウン分光 / ポリマーがいし / 非破壊検査 / 遠隔・非接触計測
【研究成果の概要】
レーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)を用いたポリマーがいしの遠隔劣化計測技術の開発に関して、以下の結果を得た。
(1) 計測ロバスト性の評価:離隔距離10 mの計測において、がいしサンプルに対するレーザーの照射角度が40度以下の範囲で劣化評価の指標となるAlに対するSiの発光強度比は一定であり、角度が75度においても発光強度比の変化は30%以内であることを示した。このことからLIBSによるポリマーがいしの劣化診断では、レーザーの照射角度の影響は小さいことを示した。
(2) レーザー誘起プラズマの特性解明:離隔距離10 mの計測において、レーザーエネルギーが60 mJから200 mJ の範囲で照射痕最大深さはほぼ一定であるが、照射痕体積は増大することを明らかにした。また、プラズマ形状の時間変化を測定し、レーザーエネルギーが増大するとプラズマがサンプル表面に対して水平な方向に広がることを示した。これらの結果より、大気からの圧縮によりプラズマの進展が抑圧されて面方向に広がり、プラズマの熱によりサンプルがアブレーションされることで、レーザーエネルギーに対して照射痕が面方向に拡大したと考えられる。このことから60 mJのーザエネルギーで200 mJのときと同様な空間分解能で深さ方向分析が可能であることが示された。
(3) キャリブレーションフリーLIBS(CF-LIBS)による組成比分析:CF-LIBSでは、検量線を用いずに、スペクトル解析のみで各元素の割合を求めることができる。フェムト秒レーザーを用いたCF-LIBSにより、シリコーンゴムのAl に対するSi の組成比分析を行った。励起温度が高い状態のプラズマからの発光スペクトルを用いることにより、Alに対するSi の組成比が算出可能であることを明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大石 祐嗣 | 一般財団法人電力中央研究所 | 電力技術研究所 | 上席研究員 | (Kakenデータベース) |
本間 宏也 | 一般財団法人電力中央研究所 | 電力技術研究所 | 上席研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)