戦略的サプライチェーンマネジメント(SCM)システム構築
【研究分野】社会システム工学
【研究キーワード】
在庫 / SCM / 需要予測 / 配送計画 / IRP / 革新的制品 / 革新的製品 / 需要預測 / 在庫管理 / サプライチェーン・マネジメント / 最適化 / 統合 / 情報共有 / システム / サプライチェーン / サプライチェーン取引関係 / 納期遅延 / 分枝型在庫システム / 順序統計量
【研究成果の概要】
本研究では,戦略的サプライチェーンマネジメントシステムの構築を目標に,特に需要予測,在庫問題,および配送計画問題に焦点をあて,需要が成長期には急に立ち上がり,衰退期にはすばやく市場から消えていく革新的製品を対象に,戦略的サプライチェーンマネジメントシステム構築時の原理原則および戦略的意思決定をサポートする問題解決手法を提案した.2章では,製品を革新的製品および機能的製品に分類し,市場対応型SCMモデルを提案し,革新的製品においては市場対応型が効率追求型に比べてシステムの平均在庫および平均欠品を同時に大きく削減できることを明らかにした.3章では,予測誤差を生産在庫管理の意思決定に有効に利用する方法を提案した.単段階在庫システムにおいて移動平均法に基づいて需要予測を行う発注点方式を対象に,需要のパタンが時間とともに変化する場合には提案法が他の方法に比べて平均在庫をそれぞれ50%近く削減できることを示した.4,5.6章では,1つの中央倉庫(CW)およびm個の地方倉庫(BW)からなる2段階分枝型在庫モデルを対象とし,最適な統合在庫補充方法を提案した.具体的には,3章で外部からCWへのリードタイムを考慮した上で,最適システム補充レベル,およびBWの補充レベル.最適CWへの留保量を解析的に求めた.また,この三つの最適値が与えられたときの留保量の最適配分時期を求めた.5章では最適配分時期を固定せず動的に決める手法を提案し,提案法が補充時期を固定する方法に比べて同じ水準の在庫で平均欠品を35%以上削減することを示した.さらに6章では,利益を評価指標とし,最適な4章の実験をやりなおした.その結果,基本的にはサービス水準を評価指標にしたときと類似した結果が得られたが,システム補充水準,留保量,および配分時期の3つを統合的に最適化する条件のもとでは,最適な配分時期がサイクルの初期になる場合もあること分かり,さらに直送や横もち輸送コストなどを考慮するたまた最適な補充時期がサイクル後半になることが分かった.7章では,顧客の許容納期が商品のディスカウントにより引き伸ばすことができる場合があることに着目し,発注からある一定期間経過したときにタイムディスカウントを実行するモデルを提案し,タイムディスカウントを実行することにより欠品数をゼロまで抑えることができると同時に利益を増やすことができることを示した.8章では,SCMを困難にするプルフィップ効果に着目し,発注方式を発注点方式に限定した条件のもとで,デカップリング在庫の定量的な計算式を導出し,意思決定段階を1つに統一しなくても,川下段階での在庫の情報,リードタイムの長さの情報,および最終需要の情報を川上でも共有することによってデカップリング在庫を大幅に削減できることを示し,情報共有ができない場合には川下段階の発注ロットサイズを隣接川上段階の補充リードタイム中の平均需要量に近づけることが大切であることを示した.9章では,生産と流通を統合する場合の統合計画において,VRPを解かずに顧客分布密度により配送距離を推定するIRPモデルの実用的解法を提案し,IRPの実用化に向けて大きな一歩を踏み出した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
伊藤 謙治 | 東京工業大学 | 大学院・社会理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
圓川 隆夫 | 東京工業大学 | 大学院・社会理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1999 - 2001
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)